「ちいかわ」は名前なのか
第1160話まで読んで書いています
先に結論
先に、この世界の身分証を並べてみる
名前の話をする前に、この世界で自分を証す道具を三つ出す。 どれも本編に大きく描かれている。
表札。 家が当たった回に出てくる。 四角い枠の中に顔の絵がかいてある。 確認済(第51話) 文字は一つもない。
合格証。 草むしり検定に受かると渡される。 札の隅に顔写真が入っている。 確認済(第393話)
合格発表。 会場の壁に貼り出されるのは受験番号だ。 確認済(第102話) 名前は出ない。
顔、顔、番号。三つとも、名前を通らずに本人を指している。
それでも、名前という仕組みはある
名前が無い世界なのかというと、そうではない。
公園に立っている像には、名前の札が付いている。 確認済(第212話)
きねんこうえんくん
ラーメン屋の注文にも、決まった呼びかたがある。 攻略の記事を読みながら、「豚って呼ぶの?」と確かめる回がある。 確認済(第84話)
食べものの名前を言いまちがえて、何こまも言い直す回もある。 確認済(第39話) 名前が大事なものとして扱われている。
つまりこの世界は、ものにはきちんと名前を付ける。 使われていないのは、住んでいる者のほうだけだ。
呼び名は、まわりが当てて決める
いちばんはっきり出るのは、2022年8月の回だ。 確認済(第519話)
ラッコが、まわりで使われている呼び名を耳にする。
- 喫茶の奥へ「マスター」と呼ぶ声が飛んでいる
- シーサーが鎧さんに「お師匠」と駆け寄っている
そのあとラッコは、自分にも呼び名がほしいと言いに来る。 ちいかわとハチワレは、そろって「先生」と呼ぶ。 けれどしっくりきていないようだったので、二人は別のを考え直してくる。 最後に落ちついたところで、ラッコは じ〜ん となる。
呼び名が、本人の持ちものとして描かれていない。 外から当てて、合うまで試す。合ったものが残る。 欲しいと言うことはできるが、自分では決められない。
同じ形は2023年にも出る。 高いところにいる相手に向かって、二人が呼びかける。 確認済(第753話)
古本屋さんっ
職で呼んでいる。 それで通じている。
では「ちいかわ」はどうか
単行本の表紙は「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」。 確認済(単行本の表紙) 作品の題と、この人物の呼び名が同じになっている。
こちらが1160話を順に並べたかぎりでは、 名前として呼びかけられた場面を記録できていない。 未確定
ここは言い方に気をつける。**「無い」ではなく「記録できていない」**だ。 3文と人物の札は絵を見て書いているが、 すべての吹き出しを文字に起こしているわけではない。
はっきりしているのは、身分証のほうだ。 表札は顔で、合格証は顔写真で、発表は番号。 名前を必要とする場面が、まだ一度も来ていない。
語られている説
「ちいかわ」が何を指しているかについて。 ファン考察
説1 種類の呼び方だ
いちばん多い読み。副題がそのまま説明になっている、という筋。 そういう生きものの呼び名であって、個体の名前ではない。
この説だと説明できないこと。 呼びかけの形。 確認済(第753話) 種類で呼ぶなら「古本屋さん」と同じように、 面と向かって「ちいかわ」と呼ぶ場面があってよさそうなものだ。 種類の呼び名は、この世界ではふつうに呼びかけに使われている。
説2 名前だが、呼ぶ場面が来ていない
名前はあるが、使う必要のある場面が描かれていない、という読み。
この説だと説明できないこと。 第519話。 必要ができたときに、この作品はちゃんと回をひとつ使う。 ラッコの呼び名は三つ試して決まった。 名前があるなら、その回が一度もないほうが不自然になる。
説3 名前か種類かを分ける必要がない
その区別はこちら側の習慣で、あの世界には要らない、という読み。
この説だと説明できないこと。 像の札。 確認済(第212話) 区別が要らない世界に、像へわざわざ名前を書く理由がない。 しかも書かれているのは、場所に付けた愛称のような形だ。
説4 読者のために外から付いた名前だ
作品の題が先にあり、それが人物の呼び名として使われている、という読み。 作中の誰も使っていないのだから、これは作品の外の名前だ、という筋。
この説だと説明できないこと。 ほかの住人との差。 「ハチワレ」も「うさぎ」も同じはずなのに、 そちらは公式の紹介で名前として扱われている。 外の名前だとすると、扱いが揃っていない理由が残る。
ここから飛躍する
ここから先は根拠が薄い。飛躍だと分かるように、節を分けて置く。 ファン考察
ここまでを並べると、この世界の決まりがひとつ見えてくる。
足りなくなったのは、教える側に立った二人だけだった。 ラッコには弟子のような二人ができて、呼び名が足された。 確認済(第519話) 「郎」の鎧さんも、助手ができてから「お師匠」と呼ばれている。 確認済(第310話)
ここからこう読める。
名前は、要りようができたときに足される
ちいかわに名前が見あたらないのは、まだ足りているからかもしれない。 隣にいるのは二人だけで、二人とも顔を見れば分かる。 呼び分けの要らない相手としか、いまのところ暮らしていない。
これは飛躍だ。 ラッコの一回から世界の決まりを引き出している。 それに、ちいかわには弟子はいなくても検定があり、 番号で足りてしまったのは名前が無いからだとも読める。順番が逆になる。
それでも、この作品が名前をいちばん最後に置いているのは確かだ。 顔を出し、番号を振り、職で呼び、それで話は進んでいる。
よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと
- 「ちいかわ族」という言いかた。 よく使われるが、 作中の言葉として出てくるところをこちらは確かめていない
- ひらがなの名かカタカナの名かで分ける読み。 面白い見方だが、 全員の表記を数えていないので扱えない
- アニメでの呼びかけ。 こちらが並べているのは公式Xの投稿だけで、 アニメの音は持っていない
名前という形を、ほとんど通らない
名前なのか、種類なのかは、この記事では決まらなかった。
かわりにはっきりしたのは、この作品が名前という形をほとんど通らないことのほうだ。 表札には顔がかかれ、試験では番号が振られ、店の者は職で呼ばれる。
そして一度だけ、呼び名が要る場面が来たときには、 三つ試して、合ったものを残すという回がきちんと作られた。
その回が、ちいかわにはまだ来ていない。
まだわかっていないこと
- 名前として呼ばれる場面があるのかどうか 掘っていない
- 「ちいかわ」が種類なのか、個体なのか 掘っていない
- ほかの住人に名前があるのかどうか 掘っていない
- 表札が顔でよい理由 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。