ひきだし

歌うのは、いつも誰なのか

第1183話まで読んで書いています

先に結論考察

たいてい歌っているのは、ハチワレになる

  • 歌いかたが、ふたつで違う
  • 片方は外から持ってきて、うろ覚えになる
  • もう片方は中で鳴っていて、声にならない
  • 覚えるところと、忘れるところが描かれる

この記事で、まだわかっていないこと 3

歌の出てくる回を順に開いていったら、歌っている者が偏っていた。

数は出せない。絵から拾ったものなので、拾い漏れがある。 それでも、開いた回のほとんどで同じキャラが歌っている。

考察/ここまでで言えること

この作品が描いているのは、歌そのものではない。覚えるところと忘れるところだ。

歌う回には、たいてい前置きと後始末が付いている ── 最近好きな歌がある。最近おぼえた。歌詞がうろ覚えだ。 歌の中身より、どこから来てどれだけ残っているかのほうが書かれている。

絵の中に書かれるのは、二音か三音のくり返しだけだ。 中身のほうは、はじめから記録されていない。

青いリボンのほうが歌う

第379話。 野原で黄色い花を摘み、それをマイクにして歌う。 事実(第379話) 歌う前に「最近好きな歌がある」と言い、歌ったあとに 「歌詞がうろ覚えだ」と言う。前置きと後始末までついている。

第405話。 朝の露天の湯につかりながら口ずさむ。 事実(第405話) 一緒にいるほうが「今の歌?」と聞くと、こう返す。

最近おぼえた…

第628話。 台所で手を動かしながら、鼻歌が出る。 事実(第628話) これも、合唱で使われる曲の歌い出しにあたる。

第848話。 家で急に歌いだして、聞いていたほうに 「歌だ」と言われる。そこから舞台の曲へ移っていく。 事実(第848話)

第1167話。 ギターを抱えて、こう宣言する。 事実(第1167話)

新曲。

そのあと茶碗を割る。

もう片方は、頭の中で流している

第292話。土手に並んで座っている。 事実(第292話) 「何考えてるの?」と聞かれて、白いほうがこう答える。

頭の中で歌 流れてたんだ…

声には出していない。 出ていたのは短いくり返しだけで、 本人は「何にも考えてなかった」とも言う。

歌が流れていたという言いかたなのが、少し変わっている。 自分で歌っていたのではなく、鳴っていたことになる。

作品の外でも、同じ並びになっている

ここが面白いところだ。

テレビアニメで歌っているのも、映画の始まりで歌っているのも、 青いリボンのほうにあたる。 事実(配信のクレジット) 一方、映画の終わりで歌うのは白いほうだ。

映画の曲は、作詞・作曲・歌い手まで「うた」の棚にまとめてある。

本編では、白いほうは頭の中でしか歌っていない。 外の作品で、一度だけ声に出す。

それでも、並べるとそろっている。

偏りを、どう読むか

「なぜ歌う役が偏るのか」について。 巷の説

読み1 言葉の量がそのまま出ている

この作品で、いちばん言葉を出すのが青いリボンだ。 歌も言葉なので、しゃべる者が歌うというだけ、という読み。

この読みだと説明できないこと。 歌わない者も歌う場面がある。 鎧が一つ、みかんを放り上げながら口ずさむ回がある。 事実(第957話) 音楽のトコで踊りながら「得意な曲でーす」と言う者もいる。 事実(第913話) 言葉の量では説明がつかない。

読み2 覚えていることを見せる役になっている

歌うたびに「最近おぼえた」「うろ覚え」と付け足す。 事実(第379話) 覚えかたのほうが描かれているのであって、 歌そのものが描かれているのではない、という見かた。

この読みだと説明できないこと。 覚えていない歌もある。 その場で作って歌う回がある。 事実(第1058話)

読み3 役ではなく、場面の都合

歌う場面は、たいていふたつでいるところに置かれる。 片方が歌い、片方が聞く。聞く側が要るので、 歌う側が固定されるだけ、という立場。

この読みだと説明できないこと。 一つだけで歌う回がある。 事実(第433話) 白いほうが、家で誰もいないまま三回続けて歌っている。 聞く側が要るなら、この回は成立しない。

この読みの、弱いところ

歌う回は五つ、頭の中で流れる回は一つを引いている。 数は出せない、と本文も書いている。

外から来るか中から出てくるか、という分けかたも、 その六つから作ったものになる。

ここから先は推測

歌いかたを並べると、ふたつで違っている。

  • 青いリボンのほう……外から持ってくる。 最近おぼえた、うろ覚え、新曲
  • 白いほう……中から出てくる。 頭の中で流れていた、誰もいないまま三回

外から来た歌はうろ覚えで、中から出た歌は言葉にならない。 どちらも、全部は出てこない。

ここからこう読める。

この作品では、歌は最後まで揃わない

これは飛躍だ。 ふたつぶんの数少ない例から形を作っている。 そもそも、うろ覚えで歌う人は現実にもいる。

それでも、映画の終わりで白いほうが歌うことになったのは、 中から出てくるほうを、一度だけ外に出したように見える。

聞く側が、いつもそばにいる

一つだけで歌っている回は少ない。 たいてい、すぐ隣に聞いている者がいる。 花のマイクにも、湯の中にも、台所にも、ギターの前にも。

そして聞いた側は、たいてい短く反応する。 「今の歌?」「歌だ」。それだけで、場面が終わる。

考察/もう少し先まで読むと

歌の中身は書かれない。聞いた者がいたことだけが書かれる。

描かれるのは、そこまでになる。 何を歌ったかではなく、誰かがそばにいたところまでだ。

歌詞を載せないのは、権利のためになる。 作品が載せないのは、別の理由だ。 理由は違うが、画面に出るものはほとんど同じになった ── 節の形と、誰が歌っていたかと、そのとき隣に誰がいたか。

まだわかっていないこと

  • 音楽のトコに何があるのか。行く場面も、そこで歌う場面も出るが、建物の中の作りは描かれない 事実(第405話) 覚える場所も、覚えたという言葉も画面に出ている

    絵を開いた 事実(第379話) 作中に場所が出ていた。第379話で「あとで音楽のトコ聞きに行こッ」と言い、第180話と第913話がその音楽のトコの回だ。第434話には歌詞の流れる「インターネットのとこ」がある。第405話では「あ、今の歌? 最近おぼえた」と本人が言う

  • 頭の中で流れていた歌が何だったのか。絵に手がかりが無い。ここは、この作品が中身を書かないことの一例そのものになる

    絵を開いた 事実(第292話) 絵にも手がかりが無かった。第292話で、流れてたんだ…頭の中で歌…、と言うだけで、曲名も、節も、音符すら画面に出ない。同じ作品の第405話では、あ、この歌? 最近おぼえた、と曲の出どころに触れる。出す回と出さない回が、同じ作りの中に並んでいる

  • 青いリボンの者にいちばん多く歌わせている理由。歌う者はほかにもいるので、多さの理由は数からは出てこない

    絵を開いた 事実(第957話) 候補124話を開いて、歌う者を書き出した。青いリボンの者がいちばん多いが、その者だけではない ── 鎧さんだけで歌う回(第957話)、シーサーが「得意な曲でーす」と言う回(第913話)、白い髪の者(第552話・第556話・第557話)、島の者たち(第779話・第782話・第786話)、骨の者(第879話)。役は決まっていない

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

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