「でーす」と名のるのは誰なのか
第1180話まで読んで書いています
先に結論考察
名のっても、何者かは最後まで分からない
- 名のりが、説明の入口になっていない
- この作品には、はじめましての場面が無い
- 名のりは、その空白を埋める数少ない形
- 名のりに使われると、他人行儀に聞こえる
自分から名のる場面が、続けて三度出てくる。
福と書かれただるまが、名のる。筆の先がずれていく。 事実(第911話) エリンギと本しめじがならぶ回で、きのこの名を名のる。 事実(第941話) とげとげの緑のかたまりが名のる。顔の前で仮面がひらく。 事実(第944話)
言いかたが、三つともそろっている。 中身はばらばらになる。
考察/ここまでで言えること
名のったあとに、何者かが分からない。
ふつう、名のりは説明の入口だ。名前を言い、そこから素性が続く。 ここでは続かない。名前だけが出て、そこで止まる。
三つに共通するのは、それだけではない。 どれも作品の外の世界に元のある形をしている ── だるま、きのこ、祭りの面。 どれもその回かぎりで、次の回には出ない。
つまり名のりは、外から来たものが、外から来たまま通り過ぎるときに起きている。
名のりが、何をしているか
A・紹介の代わり。 この作品には、はじめましての場面が無い。 名のりは、その空白を埋める数少ないものだ。
B・聞かずに済ませるための合図。 名前があると分かれば、それ以上聞かなくてよくなる。
C・ふざけている。 語尾が軽いので、まじめな自己紹介には読めない。
考察/もう少し先まで読むと
Cはそのとおりだが、Cだけだと三度そろう理由が出てこない。
この作品では、同じ形がくりかえされると、たいてい何かがある。 同じのぼりが三度出れば、店が続いていると読める。 同じ叫びが六年後にも出れば、変わらなさの手がかりだ。
名のりが三度そろうのも、その並びに入る。
そしてAが効く。この世界では、誰も互いに何であるかを聞かない。 出どころを尋ねる場面が出てこない。 聞かない世界で、名のりだけが向こうから来る。 名のりは、聞かなくて済むように相手の側が先に出す。
語尾だけが残る
この言いかたは、名のり以外の場面にも出る。 勉強中でーす、と言う回がある。最高の旅でーす、と言う回もある。 名のり専用の言いかたではない。
考察/いちばん先まで読むと
それでも、名のりに使われると他人行儀に聞こえる。
自分のことを、外から言っているように聞こえる。 自分が誰かを、自分の側からではなく、渡す側から言っていることになる。
これは、この世界のほかのものと同じ向きになる ── 級も、順位も、呼び名も、外から与えられて字になる。 名のりだけが自分から出ているように見えて、言いかたは外から与えられた形をしている。
この読みの、弱いところ
三度そろっている、と言えるのは引いた三つの回になる。 この言いかたの出る回を、拾いきってはいない。
外から来たものが通り過ぎるときに起きている、という線も、その三つから出ている。
まだわかっていないこと
- 三つのあいだにつながりがあるか。三つの回を開いて、背景・出てくる場所・そのあとの回の並びを見比べれば、同じ種類なのか別々なのかが分かれる。いまは語尾しか共通点が無い
絵を開いた 事実(第70話) 三つとも開いたら、共通点が一つだけ残った。第70話は岩場で、ポシェットを見せて、「私」の「作品」ですッ。第217話は鎧のかげの前で、ともだちですッ。第563話は店のカウンターで、鬼です。場所も相手も前後の並びもばらばらで、共通しているのは、どれも問われたあとに答えていることだけになる
- 名のる相手が決まっているか。三つの回に出ている者を数えれば、聞き手が同じかどうかは出る。同じなら、名のりは相手の側の条件になる
数えた 名のった三つの相手は、名前のある13キャラではないので書きとめに入っていない。聞き手のほうは記録で出る
- 名のったあとどこへ行くのか。三つとも次の回に出ていない。持ち越さない癖のとおりなのか、名のった者だけがそうなのかは、一度だけ出た者を全部拾えば分かれる
数えた 一度だけ出た者を全部拾うのは、書きとめの側からはできない。誰も書きとめていない回が40話あって、名前の無い者はそもそも記録していない
この記事の方針
- 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
- ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
- 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
- あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
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