ひきだし

島の石は、なぜ呼び名が三つあるのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

場面で扱いが変わり、呼びかたも変わる

  • きれいだと言えば、見るもの
  • 土産だと言えば、渡すもの
  • 札と一緒なら、決まりに関わるものになる
  • 土産と呼ぶのに、渡すところが描かれない
  • 同じ石が、二年ちがいで別の扱いになる

この記事で、まだわかっていないこと 3

2022年の8月に、石をめぐる一続きがある。六回ほど続く。 同じものが、回によって違う呼ばれかたをする。

並べてみる

回出てくるもの呼ばれかた
第519話ノートのページ、旅行の字お土産のきれいな石
第520話机にのせるきれいな石
第525話床に散らばるお土産石/札の字
第526話工房、床に並ぶピンクの石
第527話庭へ出ていくビー玉みたいな丸い石
第528話じろじろ見られるお土産石

六回のうち、三つの言いかたが混ざっている。 きれいなもの、土産、そして札の言葉と一緒に置かれるもの。

呼びかたが変わると、扱いも変わって見える

きれいだと言えば、見るものになる。 土産だと言えば、持ち帰って渡すものになる。 札の言葉と一緒なら、決まりに関わるものに見えてくる。

どれが正しいのかは示されない。 その場面で、そう呼ばれているだけだ。

考察/ここまでで言えること

呼びかたが変わると、扱いも変わって見える。

この作品では、ふつう逆のことが起きる ── 同じ語が、違う場面を担う。 チェックは遊びにも取り締まりにも使われ、討伐は危ない仕事にもじゃんけんにも使われる。

ここでは向きが逆だ。同じものが、三つの語に分かれている。

語と物の結びつきが、どちらの向きにもゆるい。 語が先でも、物が先でもない。 その場面ごとに、そのつど結ばれている。

札の字について

拾という字の入った札が出てくる。 事実(第525話) 別の回にも同じ札が出て、そちらでは木の棒がふりおろされる。 事実(第535話)

読みも、意味も、作中で説明されない。 店の名前なのか、決まりの名前なのか、そこでできることの名前なのか。

拾という字が入っているので、拾ってよい場所だと知らせるものとも読める。 巷の説 そうだとすると、ほかの場所では拾ってはいけないことになる。 そう読める場面は、まだ出てきていない。

石を渡す場面は出てこない

土産と呼ばれているのに、渡すところがはっきり描かれない。

机にのせたまま。床に散らばったまま。じろじろ見られたまま。

考察/もう少し先まで読むと

持ち帰ったあとの行き先が、見えない。

土産という語は、渡す相手を前提にしている。 その相手が出てこないので、語だけが宙に浮いている。

この作品は、ものを持ち越さない。 石も同じで、一続きが終わると出てこなくなる。 渡されないまま、消える。

つまり「お土産石」は、土産になれなかったものを指す名前として残っている。 名前のほうが先にあって、中身が追いついていない。

石は、この作品で二度出てくる

ついでに書いておくと、石が話になるのはこの一続きだけではない。

早い時期に、小さな石を手にする回が二つある。 事実(第152話) そちらでは、土産でも売り物でもなく、ただ拾って持っている。

同じものが、二年ちがいで別の扱いを受けている。 片方はそのへんで拾うもの、もう片方は工房で選んで買うもの。 あいだに何があったのかは、描かれていない。

この読みの、弱いところ

引いているのは一続きの六つの回になる。

名前のほうが先にある、という読みは、 別の一続きの看板の回を持ってきたものだ。本文も飛躍だと書いている。

ここから先は推測

この世界では、ものの名前が、そのときの扱いかたを決めているのかもしれない。

看板の言葉がそのまま姿になって出てくる回がある。 事実(第115話) 椅子にすわる星が出てきて、それが看板の言葉だと言われる。 書かれているものと、そこにいるものが同じだ。

石も同じかもしれない。きれいだと呼べばきれいなもので、 土産と呼べば土産だ。先にものがあって名前が付くのではなく、 名前のほうが先にある。

これは飛躍だ。 呼びかたが変わるのは、 場面ごとに言いかえているだけかもしれない。日本語ではよくあることでもある。

それでも、六回のあいだに三つの呼ばれかたが出てくるのに、 どれが本当かが一度も示されないのは、記録しておく値打ちがあると思う。

まだわかっていないこと

  • 札の字が何を許すものなのか。同じ札の出る別の回では木の棒がふりおろされる。二つの回の絵を並べて、札の前後で何が起きているかを見れば当たりが付く

    絵を開いた 事実(第535話) 札の先で起きることが、二つの回で違っていた。第525話では、拾魔(ふりがなは ひろま)の札の先に広い部屋があり、島民たちが床に座って、まわりに小さな石が散らばっている。お土産石?、と言われる。第535話では、木の棒をふりおろすと白い細長いものが飛び出し、解けたんだ!!、呪い!!、と言う。石を置く場所と、何かを解く場所が、同じ拾魔の札の先にある

  • 持ち帰った石が誰かに渡されたか。石の出る回のあとの回を追って、石が別の者の手にあるかを見れば決まる。渡されていなければ、土産という呼び名だけが残る

    絵を開いた 事実(第528話) 渡す場面のかわりに、作る場面が出てきた。第528話で、戻ってお土産石つくらなきゃ、と言って、カーン、カーン、と石を削る。途中で、待ってこの石…、なんかおかしくなってる気がする…、になって終わる。お土産石は拾ってくるものではなく、削って作るものだった。誰かの手に渡る場面は、この回にも無い

  • 呼びかたが変わると扱いも変わるのか。六回の絵を並べて、呼ばれかたごとに石の置かれている場所を見れば分かれる。置き場所が同じなら、言いかえているだけになる

    絵を開いた 事実(第525話) 呼びかたが変わっても、置き場所は同じだった。第525話で、お土産石?、と呼ばれた石は、そのまま拾魔の床に散らばっている。持ちこむところと散らばっているところが同じこまにある。呼びかたのほうだけが変わって、扱いは変わっていない

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

このサイトの使いかた

お気に入り

Xに書く スレッズに書く