ひきだし

お礼を言ったところで、なぜ場面が切れるのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

礼が、気まずさをほどくだけの言葉になる

  • 言う側は描かれ、受け取る側が描かれない
  • 小さなことでは、ていねいに謝る
  • 大きなことでは、誰も謝らない
  • やさしい世界では、ここが説明できない
  • 大きなことでは、ほどける相手がいない

この記事で、まだわかっていないこと 3

この作品を読んでいて、ある形にくり返し当たる。 誰かが何かを言って、そこで場面が終わる。返事が来ない。

はじめは気のせいかと思った。並べてみると、そうでもなかった。

礼を言う回

礼の言葉は、はっきり出てくる。

頭にのせるものを作った者に、礼を言う回。 事実(第618話) 穴から出たあとの回。 事実(第367話) 島を発つときの回。 事実(第785話)

どれも、言ったところで切れる。 どういたしまして、にあたる言葉が返る回は出てこない。

受け取った側の顔が描かれない回もある。頭を下げられているのに、 下げられた側が画面に入っていない。 事実(第741話)

謝る回

謝りも同じ形をしている。

渡しそこねた回。 事実(第56話) 出汁物でもあたたまった、と言われたあとの回。 事実(第862話) 説明が足りなかったと頭を下げる回。 事実(第1170話)

許す言葉が返らない。 次の場面へ移る。

気づいたこと。謝る中身が小さい

並べると、別のことが見えてくる。謝る理由が、そのつど小さい。

つまり、こうなっている。

謝る理由は、そのつど小さい ── 渡しそこねたこと。手ちがい。説明不足。 取り返しのつかないことで謝る回は、出てこない。

考察/ここまでで言えること

小さなことではていねいに謝り、大きなことでは謝らない。

いっぽう、大きなことは起きている。 危ない目にあわせた回、巻きこんだ回、置いていった回。 そこでは誰も謝らない。

巷では、この作品をやさしい世界として読む向きが強い。 巷の説 きつい言葉が少なく、責め合いが出てこない。たしかに出てこない。

よく言われている説

ただ、その読みだと大きなことで謝らないところが浮く。 やさしいから謝るのなら、大きなことほど謝るはずだ。

別の見かた

謝ることと、責めを負うことが別のものとして描かれている、という読みもできる。 巷の説

考察/もう少し先まで読むと

この世界の謝りは、気まずさをほどくための言葉になっている。

場の空気を戻すために言う。だから小さなことで出る。 返事が要らないのも、それで説明がつく。 ほどければ終わりだ。

大きなことでは、ほどける相手がいない。 危ない目にあわせたのは仕組みのほうで、仕組みは謝らない。

級を決めた者も、報酬の値を付けた者も、紙を配った者も出てこない。 謝る相手がいないところで、大きなことが起きている。

つまり、謝らないのは冷たいからではない。 謝る先が、この世界の外にあることになる。

この読みの、弱いところ

礼の回は四つ、謝りの回は三つを引いている。

大きなことで謝る回が出てこない、と言うには、 謝る回を拾いきったことが要る。 片側しか描かない、という読みは、本文も飛躍だと書いている。

ここから先は推測

この作品は、やりとりの片側しか描かないのかもしれない。

礼を言う側は描いて、受け取る側は描かない。 謝る側は描いて、許す側は描かない。 渡す側は描いて、渡される側のその後を描かない。

そう並べると、もらったものが次の回に出てこないことや、 食べ終わった器が下げられないことも、同じ形に見えてくる。

これは飛躍だ。 それぞれ別の理由で描かれていないだけかもしれない。 一回ぶんが短いので、返事まで入らないだけかもしれない。

それでも、片側で切れることが、これだけくり返されるのは、 記録しておく値打ちがあると思う。

まだわかっていないこと

  • 声を上げた側が、そのあとどうなるのか。次の回は別の場面から始まるので、追いかける手がかりが残らない

    絵を開いた 事実(第67話) 候補を開いて、声の荒い回を書き出した(第16・38・67・158・385・886・887・912・971・981・994・1028・1070・1149・1174・1179話)。どれもその回のうちに声がやんで終わる。第67話は「返セッ」を何度もくり返すが、次の第68話は別の場所で一つが鼻歌を歌う回だ。途中が描かれないのではなく、続きの回そのものが無い

  • 許す言葉が返る回があるか。謝る場面の次のこまを、拾った回ぶん全部見れば決まる。一つでもあれば、片側で切れるという読みが弱くなる

    絵を開いた 事実(第862話) 次のこまを三話ぶん見た。許す言葉はどれにも返らない。第231話に返るのは、まだ早かったみたい…、おっきい討伐…、という説明。第862話は、エーヘヘッ、のあとに、それはもう…わかったから…。第1170話は、アレッ ほんとだッ!! 気づかなかった!!。ゆるす・いいよ、にあたる言葉が一つも出てこない

  • 謝ることと責めを負うことが別なのか。謝った回で、そのあと何かを返したり直したりしているかを見れば分かれる。何もしていなければ、言葉だけで終わっていることになる

    絵を開いた 事実(第56話) 同じ回の中で続いていた。第56話で、穴あいてないやつありますかッ、と言われた側が、ごめんねッ、と言い、そのすぐあとに、これキレイなやつだから!!、こっち入れとくねッ!!、と取り替える。あやまることと、直すことが、同じ回に並んで出る

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

このサイトの使いかた

お気に入り

Xに書く スレッズに書く