言ったところで場面が切れるのは、なぜか
第1160話まで読んで書いています
先に結論
この作品を読んでいて、ある形にくり返し当たる。 誰かが何かを言って、そこで場面が終わる。返事が来ない。
はじめは気のせいかと思った。並べてみると、そうでもなかった。
礼を言う回
礼の言葉は、はっきり出てくる。
頭にのせるものを運んでもらった回。 確認済(第616話) 穴から出たあとの回。 確認済(第365話) 島を発つときの回。 確認済(第766話)
どれも、言ったところで切れる。 どういたしまして、にあたる言葉が返る回を、こちらは記録できていない。
受け取った側の顔が描かれない回もある。頭を下げられているのに、 下げられた側が画面に入っていない。 確認済(第739話)
謝る回
謝りも同じ形をしている。
渡しそこねた回。 確認済(第55話) 出汁物でもあたたまった、と言われたあとの回。 確認済(第843話) 説明が足りなかったと頭を下げる回。 確認済(第1150話)
許す言葉が返らない。 次の場面へ移る。
気づいたこと。謝る中身が小さい
並べていて、別のことに気づいた。謝る理由が、そのつど小さい。
渡しそこねたこと。手ちがい。説明不足。 取り返しのつかないことで謝る回が、こちらの記録に無い。
いっぽう、大きなことは起きている。危ない目にあわせた回、 巻きこんだ回、置いていった回。そこでは誰も謝らない。
つまり、こうなっている。
小さなことではていねいに謝り、大きなことでは謝らない。
よく語られている説
巷では、この作品をやさしい世界として読む向きが強い。 ファン考察 きつい言葉が少なく、責め合いが出てこない。たしかに出てこない。
ただ、その読みだと大きなことで謝らないところが浮く。 やさしいから謝るのなら、大きなことほど謝るはずだ。
別の見かた
謝ることと、責めを負うことが別のものとして描かれている、という読みもできる。 ファン考察
この世界の謝りは、気まずさをほどくための言葉に見える。 場の空気を戻すために言う。だから小さなことで出る。 返事が要らないのも、それで説明がつく。 ほどければ終わりだから。
大きなことでは、ほどける相手がいない。 危ない目にあわせたのは仕組みのほうで、仕組みは謝らない。
ここから飛躍する
この作品は、やりとりの片側しか描かないのかもしれない。
礼を言う側は描いて、受け取る側は描かない。 謝る側は描いて、許す側は描かない。 渡す側は描いて、渡される側のその後を描かない。
そう並べると、もらったものが次の回に出てこないことや、 食べ終わった器が下げられないことも、同じ形に見えてくる。
これは飛躍だ。 それぞれ別の理由で描かれていないだけかもしれない。 一回ぶんが短いので、返事まで入らないだけかもしれない。
それでも、片側で切れるという形が、これだけくり返されるのは、 記録しておく値打ちがあると思う。
謝りから始まって、謝りで終わる
この作品には、言い合いが無い。無いのではなく、途中が描かれない。 謝りから始まって、謝りで終わる。
そのあいだに何があったのかは、読む側が埋めることになる。 埋めかたは人によって違うはずで、そこが、この作品の読みが割れる ひとつの理由かもしれない。
まだわかっていないこと
- 言い合いの場面が、どこかにあるのかどうか 掘っていない
- 許す言葉が返る回があるのかどうか 掘っていない
- 謝ることと、責めを負うことが別のものなのかどうか 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。