ひきだし

鎧さんたちの店は、どこにあるのか

第1191話まで読んで書いています

先に結論考察

店はある。無いのは、位置のほうになる

  • のれんも時刻も列もあり、住人は迷わない
  • 迷っているのは、読む側だけになる
  • この作品は、距離を数字にしていない
  • 何分とも、どのあたりとも書かれない
  • 着いたところから話が始まる

この記事で、まだわかっていないこと 3

考察/先に、答えを置く

店があることは、絵が示している ── のれん、引き戸、閉まる時刻、列。

つまりこれは、渡されているものと渡されていないものの線の話だ。

前の版を、先に取り消しておく

絵を見直したら、間違いだった。 歩いている回も、通りの回もある。

取り消して、書き直す。 何が描かれていて、何が描かれていないのかを、分け直すところから始める。

店には、三つの形がある

形見えているもの例
建物のれん・引き戸・カウンター・看板「郎」 事実(第86話)
地面に出す立て看板と木箱だけ古本 事実(第522話)
屋台あかりと台島の夜店 事実(第666話)

古本のほうは分かりやすい。建物が一つも無い。 「古本」と書いた立て看板が地面に刺さり、木の箱が並べてあるだけだ。 事実(第522話) それで店として通じている。

いっぽう「郎」には、黄色いのれんと引き戸と赤いカウンターがある。 事実(第86話)

同じ世界に、建物のある店と、板一枚の店が同居している。

道のりは、描かれている

2020年10月の回。ふたつが塀にはさまれた道をとぼとぼ歩いていて、 その先に黄色いのれんが出てくる。 事実(第104話) 歩いて着くところが、こまとして映っている。

もっとはっきりしているのが2023年2月の回だ。 事実(第627話) 看板が三つ、同じ画面にならぶ。

武器 くすり 立喰そば

大勢いて、がやがやしている。 これは通りだ。 一軒だけがぽつんと立っているのではない。

遠くに看板が見えている回もある。 草地を歩いていく先に、「Big1」の大きな看板が立っている。 事実(第499話) 見通しのきく距離に、建物がある。

帰り道が描かれる回もある。 事実(第1182話) 郎で働いている者が、失礼しましたーッ、と店を出て、 三日月の下をひとつきりでサクサク歩く。 それでも、どこからどこへ歩いているのかは出てこない。

閉まる。並ぶ。

「郎」には営業の終わりがある。

2022年5月の回で、店の者が「今日はもうおしまい」と言う。 事実(第465話) 外には黒い影が長い列をつくっていて、ふたつはあきらめて帰る。

開いている時間があり、待つ者がいる。 場所が決まっていないと、こうはならない。

「郎」は、一つではない

2023年8月、島での回。 事実(第728話)

茂みの中に、「郎」と一文字だけ書かれた木の札が下がっている。 その札をたどって進むと、暗がりの奥に看板が出てくる。

島二郎

中では大きな者が食べていて、「今日はもう終わったよ」と言う。

名前のほうが、島まで動いている。 同じ場所にずっと建っている、という読みは、ここで一度ゆらぐ。

よく言われている説

「どこにあるのか」について。 巷の説

説1 決まった場所に、ずっと建っている

いちばん多い読み。行列があり、常連がいて、下見に行く回もある。

この説だと説明できないこと。 島二郎。 事実(第728話) 一軒が決まった場所にあるだけなら、島に同じ系統の名前が出る理由がない。 建っているかどうかと、一つかどうかは別の話だ。

説2 開くたびに、場所ができる

のぼりを立てれば古本屋だ。店は建物ではなく、そのときの取り決めだという読み。

この説だと説明できないこと。 閉店。 事実(第465話) 取り決めなら、閉める必要がない。 開けたいときに開ければいい。 「今日はもうおしまい」という言い方は、決まった枠があることを前提にしている。

説3 場所を決めないまま話が進んでいる

地図も距離も方角も出てこない。作品がそこを決めていない、という読み。

この説だと説明できないこと。 第627話の一こま。 看板が三つ、同じ画面に入っている。 決めていないものは、並べて描けない。

説4 通りはあるが、地図が無い

場所は決まっていて、住人も知っている。 読む側に配られていないだけだ、という読み。

この説だと説明できないこと。 特に無い。 この説は説明できないことがいちばん少なく、そのぶん何も言っていない。 「分からないのは読む側だ」と言い換えただけとも読める。

この読みの、弱いところ

店の回は五つを引いている。

歩ける分だけ、という読みは、本文も飛躍だと書いている。 乗りものに乗って遠くへ行く場面が出てこない、と言うには、 全部の回を当たることになる。

ここから先は推測

ここまでに出てきた移動を並べてみる。

  • 塀の道を歩いて「郎」に着く 事実(第104話)
  • 草地を歩いていくと「Big1」の看板が見える 事実(第499話)
  • 通りには看板が三つならぶ 事実(第627話)
  • 島でも、札をたどって歩くと店に着く 事実(第728話)

どれも歩いている。 乗りものに乗って遠くへ行く場面が、ここには出てこない。

ここからこう読める。

この世界の広さは、歩ける分だけ

地図が要らないのは、地図が要るほど広くないからかもしれない。 歩けば着く。着くから道を説明する必要がない。 島へ渡っても、渡った先でまた歩いて店に着く。

これは飛躍だ。 遠出の回はあるし、島へは歩いて行っていない。

考察/もう少し先まで読むと

この作品は、距離を一度も数字にしていない。

何分とも、どのあたりとも書かれていない。着いたところから話が始まる。

これは、出てこない数のほうと同じ並びになる ── 値段、キャラの数、広さ、距離、年齢。どれも量を示す数だ。 出るのは級と順位と番号で、どれも順番か位置を示す数だ。

距離は、いちばん分かりやすい量だ。 出せば、この世界の広さが決まってしまう。 出さないことで、広さを決めずに歩かせている。

まだわかっていないこと

  • 店どうしがどれくらい離れているか。看板が三つ並ぶ回があるので、その三つは近い。ほかの店も同じ画面に入る回を探せば、近さの地図が少しずつ組める

    絵を開いた 事実(第728話) 二つが近いことは、一回で決まった。第728話で、郎、の札と、島二郎、の札が、同じ画面の中に少し離れて下がっている。歩いて行ける距離だ。ほかの店が同じ画面に入る回は、開いた範囲では出てこない(第176話の喫茶も、第472話の定食も、一軒だけで映る)

  • 「郎」と「島二郎」がつながっているか。二つの看板の字と色を並べれば、同じ様式かどうかは絵で決まる。同じなら、名前のほうが動いていることになる

    絵を開いた 事実(第728話) 同じ回の中に、両方が下がっていた。第728話で、細い縄から下がる白い札に、郎、の一字。少し先に同じ形の札があり、島二郎、とある。札の形も字の書きかたも同じだ。ただし第311話・第465話の郎は建物に掲げた黄色い看板で、形が違う。同じ名前が、二つの様式で出ている

  • 店を閉めたあとどこへ帰るのか。帰る場面が描かれない。閉める場面ごと出てこないので、そこから先へ進む道が無い

    絵を開いた 事実(第465話・第1189話) 閉める場面そのものは、二つ見つかった。第465話の、労働の窓口が、今日はもうおしまいッ、と閉じる場面。もう一つが第1189話で、郎の中にいる黄色い鎧が、このあとはッ…休みにするッ、と言って戸から走り出る。どちらも閉めるところまでで、そのあとどこへ行くかは描かれない。第1189話は次の回で缶を持って戻ってくるが、行って帰るあいだは一こまも無い

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

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