泣く手前は、なぜ描かれないのか
第1180話まで読んで書いています
先に結論考察
この作品が、内側をふだん説明しないから
- 涙が出たところから、絵が始まっている
- くやしさもうれしさも、同じく短く切れる
- 理由を言う台詞も、言い当てる者も無い
- 涙で目立つのは、理由を聞きたくなるから
- 手前が飛ぶのは、涙にかぎった話ではない
泣く場面はある。手前が、たいてい飛んでいる。
模試の結果を見て、目もとに涙をためる回がある。 事実(第1008話) ポキッと折れちゃった、という声が同じ場面にある。
やりたいことを書き出した札の前で、涙出そう、という声が出る回もある。 事実(第488話) こちらは、うれしさに近いほうだ。
二つの涙が、同じ描かれかたをしている
| きっかけ | 描かれかた | |
|---|---|---|
| 結果の回 | 紙を見る | 目に涙がたまる |
| 札の回 | 書き出す | 涙出そう、と言う |
考察/ここまでで言えること
くやしさの涙も、うれしさの涙も、同じくらい短く切られている。
理由を説明する台詞は入らない。まわりの者が言い当てることもない。
ふつう、うれし涙には説明が付く。 何がうれしいかを言わないと、読む側に伝わらないからだ。
この作品では、どちらにも付かない。 つまり、切っているのは長さの都合ではなく、 涙の手前を書かないという扱いだ。
説明が要らないのか、置かないのか
A・説明が要らないほど分かりやすい。 結果が悪ければくやしい。やりたいことが書けたらうれしい。 言わなくても伝わる。
B・言葉にすると、別のものになる。 涙の理由を言葉にした瞬間、それは一つの気持ちに決まってしまう。 決めないことで、読む側の受け取りが広くなる。
Cがいちばん広く効く。 ただしCだと、なぜ涙のときだけ目立って感じるのかが説明できない。
考察/もう少し先まで読むと
この作品は、内側をふだんから説明しない。
考えていることが台詞になる場面が、全体に少ない。 涙にかぎった話ではない。
それでも、涙のときだけ目立って感じる。 たぶん、涙は理由を聞きたくなる形をしているからだ。 笑っている場面では、理由を聞きたくならない。
つまりここで起きているのは、作品の側の変化ではなく、 読む側の要求が上がることになる。 同じ扱いをしているのに、涙のところでだけ足りなく感じる。
泣いたあとが、どうなるか
泣いたあとの回が、うまく続かない。
慰める者が出てくる回もあれば、そのまま次の日になる回もある。
その日のことは、その日で終わる。
考察/いちばん先まで読むと
涙が出たところから、絵が始まっている。
泣いた理由が本人に分かっているのかどうかは、決められない。
そして、泣いたあとも続かない。 泣いたことが、あとの回で持ち出されることはほとんど無い。 取り合いのあとが残らないのと、同じ形だ。
つまり涙は、手前も、あとも切られている。 残っているのは、出ているところだけだ。
この作品でいちばん強く出る表情が、いちばん前後を持っていない。
この読みの、弱いところ
引いているのは二つの回になる。
短く切られている、と言うには、 泣く回を拾いきったことが要る。 読む側の要求が上がる、という読みも、読む人を見て言ってはいない。
まだわかっていないこと
- 泣いた理由が本人に分かっているか。言葉にした場面が無いので、決まらない。泣いた回で本人が何か言っているかを拾えば、有無だけは分かる
絵を開いた 事実(第875話) 言葉は一つも出ていなかった。第875話で、そろいの白い布をまいた者たちを木の幹の陰から見ていた者が、グスン、と鼻を鳴らす。そのこまの吹き出しは点だけで、字が入っていない。次のこまも同じだ。本人が理由を口にする場面は、この回には無い
- 慰める言葉が出ないのに、なぜ次の回で戻っているのか。あいだに何があったかは描かれない
絵を開いた 事実(第1009話) 泣いた回と、その次の回を組にして開いた。慰めの言葉は、どの次の回にも出てこない。かわりに場のほうが動く ── 第1008話で涙をためた次の第1009話では、ズレてなかったバージョンで採点する、と周りが手を打つ。第875話で木にもたれて泣いた次の第876話では、その者が客席で歌う側にまざっている。第488話の次の第489話は、ノートにやりたいことを書く回になる
- 泣かずに終わる回との分かれめ。同じくらい重い場面で泣かない回があるかを探せば、分かれ目に当たりが付く。まだ探していない
絵を開いた 事実(第47話) 泣かない回ではなく、涙が出ない回があった。第47話で、姿を変えられたあと、泣いても涙が出ないや、と言う。わ〜んわ〜ん、と声は出しているのに、目からは何も出ない。分かれ目が気持ちの側ではなく体の側にある回になる
この記事の方針
- 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
- ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
- 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
- あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
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