涙をためた目と、上がった口もとが同じ顔にある
第1163話まで読んで書いています
先に結論
柵ぎわでクッキーを食べている回がある。 確認済(第303話) 話しかけようとして、三度言いよどむ。
あのね…
そのあと「……あ」と切れて、しばらくしてから「あのさァッ」と言い直す。 言うのは、もらったリボンを無くしたということだった。
そのときの顔が、この作品のつくりをよく見せている。
目と口が、ちがう向きを向いている
絵を開くと、こうなっている。
- 目には涙がたまっている
- 口もとは、上がったままになっている
- 頬の赤みは、ほかの回と変わらない
線の太さも、目の大きさも、ふだんの回と同じになる。 泣いている顔として描き直されていない。
同じつくりが、模試の結果を見せられる回にもある。 確認済(第988話) E判定と書かれた紙が出て、涙をためた目が描かれる。 そこでも口もとは同じ形のままで、線は変わらない。
言葉にすると、二つに分かれてしまう。 「泣いている」と書けば口もとが消えるし、 「笑っている」と書けば涙が消える。 絵は、両方を一度に置いている。
言った側は、それ以上ひろげない
第303話には、もうひとつある。
無くしたと言ったあと、話が続かない。 聞いた側の吹き出しには、記号しか入っていない。 慰めの言葉も、どこで無くしたのかという問いも出ない。 そのまま「終」になる。
模試の回はちがう。ここでは、聞いた側が言葉を出す。
気にしなくていいよッ!!
そのあとに「がんばってた心が…ポキッと折れちゃったの…?」と続く。 確認済(第988話) 言葉にしたのは、本人ではない。 本人は答えていない。答えないまま、次の者が紙を取り上げて、 「これが問題と解答?」と別のことを始める。
E判定は取り消されない。 誤りだったという場面も、 受かり直す場面も出てこない。そのまま回が終わる。
打ち消さずに、次が来る
同じ形が、ほかの回にもある。
本を読んで涙が出そうだと言う回。 確認済(第486話) 見られてしまって、話は「やりたいこと…リスト…」へ移る。 最後は「すっごく楽しそッ!!!」で閉じる。 泣いていたことは、打ち消されてもいないし、解決してもいない。
寝間着の集まりの回では、木のかげで「グスン」と泣いている者がいて、 そのとなりの枠で、別の者たちが跳ねている。 確認済(第856話) 同じ画面に、両方が入ったまま「終」になる。
読みは、いくつかに分かれる
ひとつめ。絵柄の都合。 この作品は線を変えない(別の考察で扱っている)。 泣き顔用の描きかたを持っていないので、 目だけを変えて口はそのままにするしかない、という読みになる。
取りこぼすもの。口もとは、変えようと思えば変えられる。 口を大きく開けて叫ぶ回はいくらでもある。 変えていないのは、変えられないからではない。
ふたつめ。短さの都合。 一話は十コマ前後で終わる。 泣いて、慰めて、収まるところまで入れると枠が足りない。 だから途中で切れているように見える、という読みになる。
取りこぼすもの。百話を超える一続きでも、同じ作りになっている。 枠の数の問題なら、長い話のどこかで収める場面が入るはずになる。
みっつめ。収めないことが、そもそもの形。 悲しいことが起きても、量を減らさない。 減らさないまま、次のことが始まる。 分けて順番に置かないので、混ざったままになる。
取りこぼすもの。第988話では、減らそうとする声が出ている。 「気にしなくていいよッ!!」は、打ち消しにかかる言葉になる。 作品の中にもその向きはある。通しの決まりとは言えない。
ここから飛躍する
三つとも、片側しか説明できていない。ここから先は根拠が薄い。
言葉は、混ざったものを分ける道具になる。 「悲しいけれど仕方がない」と書いたときには、 悲しみと諦めが順番に並んでいて、あとのほうが勝っていることになる。
絵には、その順番が無い。 第303話の顔には、どちらが先とも書かれていない。 そして、本人はそれを言葉にしていない。言葉にしたのは、別の回の別の者だった。
そう見ると、この作品が説明をしない理由の一つがここにあることになる。 説明した時点で、混ざっていたものが分かれてしまう。
ここは飛躍になる。 作者がそこまで考えて描いているのか、 描きかたの積み重ねでそうなっただけなのかを、こちらは分けられない。
よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと
「この作品は感情を丁寧に描く」という言いかたを見かける。 丁寧かどうかは、こちらでは決められない。 言えるのは、目と口が別々の向きで描かれている回がある、というところまでになる。
泣いた回の続きが、次の回にどう残るのかも見ていない。 一話ずつしか開いていない。 前後を通して読むと、別のことが見えるかもしれない。
まだわかっていないこと
- この顔のつくりに、決まった描き分けがあるのか 掘っていない
- 打ち消さずに閉じるのが、この作品の通しの作りなのか 掘っていない
- 泣いた回の続きが、次の回にどう残るのか 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。