ひきだし

なぜ、この世界は説明されないのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

説明されない、の中身が分かれているから

  • うわさと決まりとつながりと、語り手だ
  • 止まりかたが違えば、待ちかたも違う
  • うわさは、確かめた者が現れれば動く
  • 三つは、知識が足りない形になる
  • 一つだけ、知識があって出さない形になる

この記事で、まだわかっていないこと 4

「説明されない」には、四つの形がある

この作品について「説明されない」とよく言われる。 1209話を並べて読むと、説明されないことにも種類があることが分かる。 まずそれを分ける。

1 中にいる者も知らない

食べ物が湧く理由について、住人はこう話す。 「踊り」のおかげだといううわさがある、と。 そして同じキャラが、続けてどうなんだろと言う。 事実(第475話)

うわさが立っているなら、確かめた者がいない。 読者に伏せられているのではなく、中にいる誰も知らない。

2 知っている者が、言うのを止められる

写真を見た鎧さんが「いい仕事してる」と言うと、 もう一つが「『仕事』とか言うな」と止める。 事実(第263話)

ここでは、知っている者が確かにいる。 けれど言ってはいけないことになっている。 説明が無いのではなく、説明が押さえられている。

3 同じ立場どうしでも、互いを知らない

鎧さんがふたつ、たまたま同じ相手と親しいと分かって、そろって驚く。 事実(第217話)

毎日すれ違っているはずのふたつが、互いの交友を知らない。 知識が横に流れていない。 誰も全体を見ていない。

4 語り手が、途中で言葉を切る

ラッコが像の前で「ある日この像に誓った」と言う。 続くのは「強くなる」までで、その先は言わない。 事実(第213話) 「なつかしいな」と言って、その日のうちに帰る。

説明できる者が目の前にいるのに、話が終わってしまう。

四つを並べると

誰が知っているか説明が止まる場所
1 うわさ誰も知らない世界の側
2 言うな鎧さんは知っている決まりの側
3 互いを知らない部分だけ知っているつながりの側
4 言葉を切る本人は知っている語り手の側

考察/ここまでで言えること

「説明されない」とひとことで言うと、この四つが同じものに見える。

実際には、止まっている場所がそれぞれ違う。

うわさで止まっているのか、決まりで止まっているのか、 つながりが無くて止まっているのか、本人が言わないのか。

分けると、待ちかたも違うことになる ── 1は確かめた者が現れれば動く。2は決まりが変われば動く。 3は誰かが全体を見はじめれば動く。4は本人が話す気になれば動く。

一度に解けることは無い。 「いつか説明される」という言いかたは、四つを一つに見ている。

そしてまとめて説明する場面を、一つも出てこない。 1209話の中では出てこない、という意味だ。

よく言われている説

ここからは、なぜそうなっているかの読み。 巷の説

説1 まだ順番が来ていないだけ

長い連載では設定はあとから明かされる。作者の中には答えがある、という読み。

弱いところは、3年半以上たっていること。

この説だと説明できないこと。 上の「2」。 出す順番を待っているなら、作中のキャラが止める必要はない。 止める場面をわざわざ描くのは、待っている作りかたではない。

説2 説明しないことが、この作品の形

説明されないことによって成立している、という読み。 いちばん多い読みだ。

弱いところは、作品の外から言っていること。

この説だと説明できないこと。 上の「1」。 説明しないと決めているなら、うわさが立つ必要もない。 第475話は、理由を知りたがる住人をわざわざ描いている。

説3 説明できる位置に、誰もいない

世界の全体を見ている者がいない、という読み。 鎧さんは仕組みを回しているが、互いのことすら知らない。

弱いところは、鎧さんの上の立場が描かれていないだけかもしれないこと。

この説だと説明できないこと。 上の「2」。 止めた鎧さんは、止めるだけの何かを知っている。 誰も知らないのなら、止める判断ができない。

この読みの、弱いところ

四つの形は、それぞれ一つの回から取っている。

四つで足りているかどうかは、全部の回を当たるまで決まらない。 説明を止める役がいる、という読みは、一つのこまだけが根拠だと本文も書いている。

ここから先は推測

四つのうち三つ(1・3・4)は、知識が足りないという読みだ。 けれど「2」だけは違う。あれは知識があって、出さないという読みだ。

ここからこう読める。

食べ物が湧く理由を誰も知らないのも、 知ることが止められているからかもしれない、という読み。

考察/もう少し先まで読むと

四つのうち三つは知識が足りないという読みで、一つだけ知識があって出さないという読みだ。

1・3・4は、足りない側だ。 「2」だけが違う。

一つだけなら例外として流せる。 けれど鎧さんは、顔も隠している。互いの交友も共有していない。 隠すという動作が、このキャラたちのまわりに集まっている。

そこから、こう読める ── 説明が無いのではなく、説明を止める役の者がいる。

これは飛躍だ。 根拠は第263話の一コマしかない。 仕事の話を子どもの前でしない、という配慮として読むほうが自然かもしれない。

どこで止まっているかを、分けて置く

どれも、まだ動いていない。

まだわかっていないこと

  • 作者が説明を避けているのか、順番を待っているだけなのか。作中のキャラが言葉を止める場面があるので、待っている作りかたには見えない。止める回をほかにも探せば確かになる

    絵を開いた 事実(第507話) 止める回が、もう一つ見つかった。しかも止めているのが聞く側だった。第507話で、制度がなくなる噂を聞いた者が、その後は…ショックで耳にキーンとして聞いてないです、と言う。第689話では放送が流れたのに、「話」ってなんだったんでしょう…、で中身が届かない。止まりかたは、話す側だけではない

  • 住人たちが自分の世界をどこまで知っているか。うわさで話す回があるので、全部は知らない。知っている者と知らない者を場面ごとに分ければ、地図が少しずつ作れる

    確かめる道が無い 知っている者と知らない者を場面ごとに分けるには、吹き出しを書き起こすことになる。書きとめは誰がいたかまでしか残らない

  • 知っている者がどこまで知っているか。止めた側は、止めるだけの何かを知っている。同じ者の出る回を追えば、知っている範囲に当たりが付く

    数えた 記録で追える。止めた側が鎧さんなら、三つの鎧さんのどれかが出るのは144話で、そのうち二つ以上が同じ回に出るのは3話だけだ。知っている範囲を比べる材料が、そもそもほとんど無い

  • 説明される日が来るのかどうか。止まりかたが四つあるので、四つとも別々に動くことになる。一度に解けることは無い

    絵を開いた 事実(第689話) 止まりかたが、もう一つ増えた。第507話は聞く側が耳を閉じる形、第689話は流れたのに中身が届かない形。どちらも話す側の都合ではない。四つを一度に解く出来事は、この二話を足したあとでも思いつかない。別々に動く、というところはそのままになる

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

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