ひきだし

家族がいないのか、描かれないだけなのか

第1160話まで読んで書いています

先に結論

  • 友だちになったと伝える場面は、その日の話の山になっている 確認済(第201話
  • 友だちですと言われて、二人が顔を見あわせる回がある 確認済(第216話
  • 人物の札は13種類あり、どれも名前か役で付いている 確認済(第1話
  • 家族らしき関わりの回を、こちらはまだ一つも挙げられない 未確定

この記事で、まだわかっていないこと 4

この作品には、親が出てこない。きょうだいも、育てた者も出てこない。 そう言われるし、読んでいてもそう感じる。

この記事は、それを確かめきれなかった記録でもある。先にそこから書く。

「出てこない」を、こちらは証明できない

一度、数えたことがある。各話に付けた短い言葉を1160話ぶん引いて、 親・家族・きょうだい・母・父・子どもが一件も当たらない、という表を作った。

その表は消した。

三つの言葉はこちらが書いたもので、しかも三つしか書かない。 書いていないことは、その回に無いことを何ひとつ意味しない。 0という数は作品についての数ではなく、こちらが六年ぶん何を書かなかったかの数だった。 無いことの証明として出すには、いちばん向いていない材料だった。 未確定

いま言えるのは、こうなる。 家族らしき関わりが描かれた回を、 こちらは一つも挙げられない。ただし、1160話の絵を「家族がいるか」という目で 見直したわけではない。 見直すべき仕事として、確認の待ち行列に出してある。

名簿のほうから見る

絵から言えることが、ひとつある。人物の札だ。 札は全話について絵を見て、出ている者を全部書いてある。

いま札は13種類ある。ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、ラッコ、シーサー、 くりまんじゅう、鎧さん、モモンガ、古本屋、パジャマパーティーズ、ほか。 確認済(第1話

どれも、名前か役で付いている。 誰かの母、誰かの兄、という付きかたをした札が 一つも無い。六年ぶん、絵を見て名前を付けてきて、 関係で呼ぶしかない者が一度も現れなかった。

これも「無い」の証明ではない。名前が分かれば名前で呼ぶからだ。 それでも、13人の名簿に関係で呼ばれる者が一人もいないのは、 暮らしを描いている作品としてはめずらしい形だと思う。

かわりにあるもの

出てこないものの話ばかりでは進まない。出てくるほうを見る。

友だちになりました、と伝える回。 確認済(第201話 友だちです、と言われて、二人が顔を見あわせる回。 確認済(第216話 ともだちだもん、という声が、洞穴の入口で出る回。 確認済(第203話

どれも、その日の話の山になっている。 背景として流れていくのではない。 言葉にすること自体が出来事になっている。

家族なら、ふつうこうはならない。関係が先にあって、言わなくても続く。 この作品では、関わりが毎回あらためて言葉にされる。

選んだ関わり、という読み

巷では、この作品を選んだ関わりの話として読む向きがある。 ファン考察 生まれで決まる関わりではなく、自分で選んだ相手と暮らす。 だから親が出てこない、という読みだ。

友だちという言葉の重さは、これでよく説明できる。

ただ、選んだ場面が描かれていない。 知り合う回が、ほとんど無いからだ。 気づくと同じ側にいる。 確認済(第71話 選んだのなら、選んだところがどこかにあってよさそうだが、こちらでは見つけていない。 未確定

育つ形が無い、という読み

もうひとつ。そもそも、この世界に生まれて育つという形が無いのかもしれない。 ファン考察

年齢に触れる場面を、こちらは見ていない。誰も大きくならない。 六年たっても同じ姿でいる。育つという形が描かれないなら、育てる者も要らない。

この読みだと、住人がどこから来るのかという問いが前に出てくる。 出どころが語られる人物は、こちらの記録ではひとりもいない。

弱いところもある。 大人びて見える人物はいるし、 飲むための資格のように、線が引かれていそうな仕組みもある。 確認済(第488話 線があるなら、線の手前と向こうがあることになる。そこは描かれていない。

ここから飛躍する

家族が出てこないのは、この作品が「離れていてもつながる関わり」を 描かないからかもしれない。

うさぎを追いかけて着いた先は、家ではなかった。 確認済(第574話 夜をどこで過ごすのかも出てこない。 離れた相手へ言葉を送る手立ても、こちらは見ていない。

家族は、ふつう離れていてもつながっている関わりとして描かれる。 つながりを保つ手立てがこの世界に無いのだとしたら、 離れた相手との関わりそのものが描けない。 描けないものは出てこない。

だから出てくるのは、その場に一緒にいる相手だけになる。 ファン考察

これは飛躍だ。 手立てが無いのは、描く必要が無かっただけかもしれない。

それでも、一緒にいることが関わりのすべてになっているという形は、 札の数とも合っている。札が一人だけの回は、札のある回の15%しかない。 残りはいつも誰かと一緒にいる。

この記事で確かめられたこと

この記事で確かめられたのは、ここまでになる。

  • 友だちという語は、出てくるたびに話の山になる
  • 13の名簿に、関係で呼ばれる者が一人もいない
  • 家族らしき回を、こちらは見つけていない。挙げられないことと、無いことは別

最後の一行が、この記事でいちばん言いたいところになる。 無いと書くのは簡単だった。 数まで用意できた。 その数が自分の書いたものだと気づいたので、無いと書くのをやめた。

まだわかっていないこと

  • 家族という形が、この世界に無いのか、描かれないだけなのか 掘っていない
  • 住人がどこから来るのか 掘っていない
  • 友だちという言葉が、どこまでの間柄を指すのか 掘っていない
  • 家族という観点で1160話の絵を見直したら、何が出るのか 掘っていない

一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。

この記事の方針

  • 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
  • ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
  • 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
  • まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
  • こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
  • 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
  • あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。