ひきだし

労働と報酬は、どういう仕組みなのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

仕組みは説明されず、額の話だけが出る

  • その順番が、この世界でいちばん妙になる
  • 袋の中身は描かれず、量の話だけが出る
  • お金は、額だけがあって物が出てこない
  • 上から下へ流れる図では、収まらない

この記事で、まだわかっていないこと 4

報酬について、作中で言葉になっていること

この世界の経済は「なんとなく厳しそう」と語られがちだが、 額の話が言葉になっている回がいくつかある。そこだけを先に並べる。

資格で増える

報酬の袋を受け取ったあと、ハチワレが「資格でちょっと増えたよ」と言う。 事実(第113話) 草むしり検定の貼り出しから10日ほどあとの回にあたる。

資格と報酬がつながっていることは、ここではっきりする。 ただし増えかたは「ちょっと」だ。

場所で変わる

同じ回で、すぐ隣のエリアで働いたほうは あまり変わらなかったという話が出てくる。 事実(第113話)

つまり、この世界の報酬には少なくとも二つの軸がある。

言葉になっている差
資格ちょっと増える
エリアあまり変わらないこともある

どちらが大きいかは、作中では比べられていない。 けれど会話で先に出てくるのはエリアの話だ。

考察/ここまでで言えること

仕組みは説明されていないのに、額の話だけが具体的に出てくる。

誰が報酬を用意しているのかは出てこない。 草をむしった先も、袋の中身も、そのうしろにある。

それでも、「ちょっと増えた」「あまり変わらなかった」「100倍」と、 量の話だけは言葉だ。

この順番が、この世界の働きかたのいちばん妙なところだ。 ふつうは、仕組みが先にあって、額があとから決まる。 ここでは、額だけが先に出ている。

成果に対して、本人に渡る

ハチワレは一度断るが、「お前が討伐したんだ」と言われて受け取る。

ここで分かることが二つある。

  • 報酬は、その仕事をした本人のものとして扱われている
  • 渡し役は受付のキャラとはかぎらない。 この回で渡しているのはラッコだ

100倍という数字が出たことがある

チラシに「報酬100倍」と書かれ、それを見た三つが島へ向かう。 事実(第660話) 島では豆知識の札にも同じ数字が出てくる。 事実(第684話)

この世界で、報酬の倍率がはっきり数字で出たのはここだけだ。 100倍という言い方が成り立つなら、基準になる額がある。

分からないままのこと

  • 袋の中身が描かれない。 受け取る場面は何度も出るが、 中を開けて数える場面が見当たらない
  • 草をむしった先が出てこない。 むしった草がどこへ行くのか
  • 報酬を用意しているのが誰なのか

よく言われている説

ここからは巷で語られているもの。 巷の説 挙げるのは二つだけにする。三つ目を作ると、作った説だ。

説1 ふつうの労働社会として読む

資格があり、受付があり、成果に応じて報酬が出る。 現実の働きかたをそのまま縮めたもの、という読み。 いちばん自然で、いちばん多い。

弱いところは、使い道が描かれないこと。 報酬の袋は受け取られるが、それで何を買ったかが結びつかない。 店で払う場面はあるのに、袋が出てこない。

この説だと説明できないこと。 エリアによる差。 ふつうの労働社会なら、同じ資格・同じ仕事でエリアが違うと額が変わることは 説明できなくはないが、その理由がどこにも出てこないのは落ち着かない。

説2 搾取の構図として読む

危ない討伐をするのは鎧を着ていない側で、渡す側は安全な受付にいる。 だから使い捨ての労働力として扱われている、という読み。 社会の縮図として読むときによく出てくる。

弱いところは、渡す側が親切であること。 鎧さんは「擬態型」を疑ってちいかわ達を心配する回がある。 事実(第202話) 搾取の構図に、この心配の置き場所がない。

この説だと説明できないこと。 第626話で報酬を渡しているのがラッコであること。 上から下へ流れる一方向の構図では、この回が収まらない。

この読みの、弱いところ

言葉になっているのは三つだけだ、と本文も書いている。

額だけが先に出ている、という線は、その三つから出ている。 二つの説が、それぞれ別の回で止まることも本文に書いてある。

ここから先は推測

ここからこう読める。

店で払う場面があることも、この読みにとっては都合が悪い。

それでも、受け取る場面はあれほど繰り返し描かれるのに、 中身が一度も出てこないという偏りは、記録しておく価値があると思う。

考察/もう少し先まで読むと

この世界のお金は、額だけがあって物が無いように見える。

袋は量の印であって、中に何かが入っているとはかぎらない。 だから開けない。数えない。使うところも描かれない。

そう読むと、この世界の数の出しかたとそろう ── 出るのは級と順位と倍率で、どれも順番か位置を示す数だ。 値段はほとんど出ず、キャラの数も広さも出てこない。量を示す数だけが避けられている。

報酬の袋は、量を示す数を持たずに、量のふりをしていることになる。

これは飛躍だ。 単に開ける場面を描く必要がなかっただけ、とも読める。

考察/いちばん先まで読むと

上から下へ流れる一方向の構図では、収まらない回がある。

討伐のあと、ラッコが袋を差し出して「おまえの分だ」と言う。 事実(第626話) 同じ側の住人が、同じ側の住人に報酬を渡している。

搾取の構図として読むと、この回が浮く。 ふつうの労働社会として読むと、エリアによる差の理由が出てこない。

二つの説は、それぞれ別の回で止まる。 そして止まる場所が、どちらも渡す手前になる ── 誰が用意したのか。なぜその額なのか。

この世界の働きかたについて言えるのは、 渡すところから先だけが描かれているというところまでだ。

言葉になっているのは、三つだけ

この作品が言葉にしているのは 「資格でちょっと増える」「エリアで変わる」「100倍になることがある」の三つになる。

まだわかっていないこと

  • 草をむしった先でその草がどうなるのか。運ぶ場面はあるが、着いた先が描かれない。運ぶ回の行き先の札を絵で読めば、一段だけ進む

    絵を開いた 事実(第126話) 着いた先が描かれていた。第126話で、むしった草の袋は台へ持ちこまれ、機械にかけられて、ビーッ、と鳴る。第127話では台の上に草が置かれ、Eにはないはずの危険草が混じってた!!、と調べた側が言う。草は捨てられるのではなく、調べられている

  • 報酬を用意しているのが誰なのか。渡す者はいて、用意する者が出てこない。この世界の仕組みは、どれも作る側が画面に入らない

    絵を開いた 事実(第127話) 用意する側が画面に入っていた。第127話で、調べた者が、なので今回 報酬アップ、と言って袋を渡す。額を決める声と、渡す手が同じ者だ。第113話のほうは黒い手袋の手だけで、顔は出ない

  • 袋の中身が何の形をしているのか。食券と引きかえられることは画面に出るが、開けて中を見せる回は出てこない

    絵を開いた 事実(第473話) 開ける回は出てこないが、使う回はあった。第472話で採取のあと、報酬、と書かれた黄色い袋を受け取る。次の第473話でその袋から食券を買い、朝定食を食べる。中身の形も数も画面に出ないが、今日の報酬で足りるよネ、という声は出る

  • エリアによって額が変わるのはなぜか。理由がどこにも出てこない。エリアの出る回を並べて、場所ごとの違いが絵にあるかを見れば当たりが付く

    絵を開いた 事実(第113話) 本人が言っていた。第113話でちいかわが、すぐとなりのエリアで…あんまり変わらなかったよ、と言う。近いエリアでは差が小さい、というところまでは画面に出る。なぜ差が付くのかは出てこない

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

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