資格はあるのに、何を守るのかが書かれていない
第1160話まで読んで書いています
先に結論
飲むための資格がある。本があり、試験があり、札があり、取り締まる側がいる。
仕組みとしては、そろっている。 そろっていないのは、 何のための決まりなのかのほうだ。
仕組みは、ていねいに描かれる
順に並べると、抜けが無い。
勉強する。 資格の本を開いて、草の上で読んでいる。 確認済(第488話) ペンを手にして書き込む回もある。 確認済(第503話)
確かめられる。 抜き打ちの四文字が出て、額に赤い印が付く。 確認済(第785話)
落とす。 草に落ちていた免許が拾われ、届けられる。 確認済(第786話)
取り締まられる。 無免許という語が画面に出る回がある。 そこでは、チョコならセーフだという安堵が続く。 確認済(第950話)
四つそろって、ひとつの仕組みになっている。 持っていないと困る、というところまで描かれている。
守られているものが、描かれない
そのうえで、抜けているものがある。
この決まりが何を守っているのかが、一度も示されない。
年齢によるものなら、年齢の出る人物がいてよさそうだが、 年齢に触れる場面を、こちらは挙げられない。 未確定 誰も大きくならないし、いくつだという話も出てこない。
体によるものなら、飲んで具合が悪くなる回があってよさそうだ。 そういう回を、こちらは見つけていない。
店の都合なら、断る店員が描かれてよさそうだ。 取り締まる側は出てくるが、店の側が断る場面は出てこない。
つまり、線があることは見えていて、線を引いた理由が見えていない。
ほかの資格と、形がそっくり
並べると、この世界の資格は全部同じ作りをしている。
| 本 | 試験 | 札 | 何のためか | |
|---|---|---|---|---|
| 草むしり | ある | ある | ある | 出てこない |
| 飲むための資格 | ある | ある | ある | 出てこない |
形だけがていねいに描かれて、中身が置いていかれる。
これは、この作品でくり返し出てくるやりかただ。 討伐の依頼を出す者が出てこない。報酬の値を付けた者が出てこない。 仕組みはあるのに、決めた者も理由も画面の外にある。
「チョコならセーフ」が効いている
面白いのは、取り締まりのほうだ。
無免許という語が出た回で、続くのはチョコなら大丈夫だという安堵になる。 確認済(第950話)
ここから分かることが二つある。
ひとつ。線は、中身で引かれている。 ものの種類で分かれる。 だから「誰が飲むか」ではなく「何を飲むか」の話になっている。
ふたつ。住人はその線を知っている。 安堵できるということは、 どこまでが大丈夫かを分かっているということだ。
読者だけが知らない。 作中の者には共有されていて、 説明が要らないから説明されない。 この作品がよく取る置きかたが、ここにも出ている。
資格が、何の役に立っているか
ここは飛躍する。
この世界の資格は、持っていると何かができるようになるものとして 描かれていない。草むしりの級も、取ったあとに何が変わるかが出てこない。
出てくるのは、取るまでの過程のほうだ。 勉強する、受ける、受かる、落とす、拾われる。
そう読むと、資格は目的ではなく、日々を埋めるための形ということになる。 ファン考察 段取りがあって、達成があって、次がある。 やりたいことの一覧と、同じ働きをしている。
これは飛躍だ。 取ったあとを描く必要が無かっただけかもしれない。 そして「取ったあとが描かれない」と言い切れるほど、 こちらは全話を見直していない。 未確定
読者の側に残るもの
本・試験・札・取り締まり。仕組みは四つともそろっているのに、 何を守る決まりなのかは一度も示されない。 線は中身で引かれていて、住人のほうはそれを知っている。
この作品は、決まりの形だけを渡してくる。 守られているものは、読者の側で埋めるしかない。 埋めかたによって、この世界の厳しさの見えかたが変わる。
まだわかっていないこと
- 何のための決まりなのか(年齢か、体か、店の都合か) 掘っていない
- 持っていないとどうなるのか 掘っていない
- 誰が発行しているのか 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。