ひきだし

住人は、相手の正体を知りたがらないのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

困っている側が調べず、読む側が調べる

  • 危ない目に遭うのは住人なのに、尋ねない
  • 説明されない、をまだ、と読むと変わる
  • 後者は、これから明かされると言っている
  • 予定があるとは、どこにも書かれていない
  • 言えるのは、予定が書かれない一点だけだ

この記事で、まだわかっていないこと 3

正体という言葉が、巷の記事の題にくり返し出てくる。 鎧の中身。うさぎの素性。大きいもの。 説明されていないところに、そのつど向けられる。

正体を尋ねる場面は出てこない

まず、作中のほうを見る。

並んだ鎧のかげが出てくる回がある。 事実(第217話) そこで出てくるのは、友だちだという言葉と、顔を見あわせるふたつだ。 鎧が何なのかを尋ねる声は出てこない。

返せとくり返す回もある。 事実(第67話) 黄色い毛のかたまりが出てきて、やりとりがある。 相手が何者なのかは、話題にならない。

住人は、知らないまま暮らしている。

一度だけ、前を指す問いが出る

例外がひとつある。

あん時の、と前を指す問いが出る回がある。 事実(第896話) 「ゆうじょう」と書かれた木の札が割れて、そこから黒いかげが出てくる回だ。

これは「誰だったか」を確かめる問いだ。

そして、それ以上は問われない。 何者なのか、なぜそこにいるのかへは進まない。 照合で終わって、正体へは行かない。

差が、はっきりしている

並べると、こうなる。

知りたがるか
作中の者ほとんど尋ねない
読む側正体という語で記事が立つ

考察/ここまでで言えること

困っている側が調べず、困っていない側が調べている。

住人のほうが、危ない目に遭っている。困るのも彼らだ。 それでも、湧く仕組みを調べる場面も、級を誰が決めたのかを聞く場面も 出てこない。

知りたがりが、当事者の側に無い。 この作品の空きが空きに見えるのは、外から見たときだけだ。

二つの読みかた

なぜ知りたくなるのか。二つ考えられる。

ひとつ。分からないと落ち着かないから。 説明の無い状態そのものが、居心地を悪くする。 この読みだと、答えがあるかどうかは関係ない。

ふたつ。答えがあると思っているから。 まだ明かされていないだけで、いつか出ると思っている。

ふたつめには、前提が入っている。

「まだ明かされていない」と読み替えている

考察/もう少し先まで読むと

「説明されていない」を「まだ明かされていない」と読み替えると、意味が変わる。

前者は、いまの状態を言っている。 後者は、これから明かされる予定があると言っている。

予定があるかどうかは、どこにも書かれていない。 作者が言った場面も、作品の中で示された場面も、出てこない。

読み替えは、たぶん無意識に起きる。 そして一度そう読むと、説明されないことが「引っぱっている」ように見えてくる。 待たされている気持ちだ。

待たされていると思うと、作品が約束を破っているように読める。 約束は、一度もされていない。

住人が知らないことの、別の読み

最後に、逆の読みも置いておく。 巷の説

住人が尋ねないのは、知っているからかもしれない。

この作品は、当たり前のことを説明しない。 資格の線も、行事のいわれも、住人には共有されている。 尋ねないのは、聞くまでもないからという読みが立つ。

この読みだと、正体という問いは成り立たなくなる。 分からないのは読者だけで、世界の側には穴が無いことになる。

弱いところ。 知っていると示された場面も、やはり出てこない。 知っているのか、興味が無いのか、そもそも問わない作りなのか。 そこも分からない。

知りたがる側にいる

書いておかないと不公平なので、最後に。

考察/いちばん先まで読むと

書く側も、知りたがっている側にいる。

これだけ考察を書いて、ほとんどが「示されていない」で終わっている。 示されていないことを並べることは、説明を待っているのとそれほど遠くない。

ちがうと言えるとすれば、一点だけだ。 予定があるとは書いていない。

「解決」という状態を置かないのも、同じ一点からきている。 問いが閉じるのは作中で明示されたときだけで、 待つことで閉じるものではない。

そこだけは、ずっと守っていきたい。

この読みの、弱いところ

尋ねない例は三つの回を引いている。

ほとんど尋ねない、と言うには、全部の回を当たることになる。 住人が知っているという読みも、示された場面が無い。本文もそう書いている。

まだわかっていないこと

  • 住人が知りたがらないのは、知っているからなのか。知っていると示された場面も出てこない。興味が無いのか、問わない作りなのかも分けられない

    絵を開いた 事実(第682話) 知ろうとする側の言葉が、一つ見つかった。第682話で、なんか聞いたことあるッ!!、と言い、伝説の…生物の…図鑑に載ってた…と思う、と続く。知りたがらない、という前提が、全部の回には当てはまらない。ただしこの回でも、答えを確かめにいく場面までは進まない

  • 尋ねる場面がどこかにあるのか。あん時の、と前を指す問いは出るが、照合で終わって正体へは行かない。ほかの問いかけを拾えば、幅だけは分かる

    絵を開いた 事実(第896話) 前を指す問いを一つ開いた。第896話で灰色の者が、あん時の魔女か、と空へ問う。姿は描かれず、答えも返らない。照合で終わって正体へは行かない、というところは絵でも同じだった

  • 明かされる予定があるのかどうか。作者が言った場面も、作品の中で示された場面も見つけていない。無いということまでしか書けない

    確かめる道が無い 作品の側にも、作者の側にも、示す場所が無い。開いた1209話の絵にも、講談社の作品ページにも、明かす予定に触れる言葉は出てこない。ここは、予定が無いのではなく、予定について語られた場所が無い、というところで止まる。出れば一度に決まる

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

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