食べ物だけが、細かい名前を持っている
第1160話まで読んで書いています
先に結論
この作品の食べ物には、名前が付きすぎている。
品の名、味の名、作りかたの名。しかも画面に字として出る。 ほかのものは、そこまで細かくない。 その差の話をする。
第4話から、もう細かい
いちばん早い時期から、この癖は出ている。
本編が始まって一か月のところで、飲み物は銘柄で、 焼いたものは商品名で描かれている。 確認済(第4話) 種類ではなく、品そのものが指されている。
そのあとも変わらない。 汁粉がこしあんかどうかまで区別される。 確認済(第400話) 島の品は、土地の名を前に付けた品名で出てくる。 確認済(第569話) うどんには、解凍されたという状態まで付く。 確認済(第879話)
六年ぶん、細かさが落ちていない。
ほかのものは、こうではない
同じ画面に映っているのに、扱いがまるで違う。
人物は役で呼ばれる。 労働の鎧さん、ラーメンの鎧さん。 古本の店に立つ者には、名前が字になった回が無い。
道具はかたちで呼ばれる。 札には武器とだけ書いてある。 確認済(第625話) どんな武器か、何という武器かは出てこない。
場所は一文字のこともある。 黄色い看板に、字がひとつ。 確認済(第463話)
つまり、食べ物だけが固有名を持ち、ほかは分類名で止まっている。
選べるから、名前が要る
いちばん素直な読みはこれだと思う。 ファン考察
名前が細かいのは、選ぶ必要があるからだ。 店に品書きがあり、棚に並び、どれにするかを決める場面がある。 迷う回もある。 確認済(第1127話)
選ぶには、区別する言葉が要る。 こしあんかどうかが問題になるなら、こしあんという語が要る。
この読みは、逆もよく説明する。 人物を選ぶ場面が無いから、人物の名前は細かくなくていい。 武器を選ぶ場面が無いから、武器は武器でいい。
弱いところがある。 選ぶ場面のない食べ物も、細かい名前で出てくる。 もらったもの、湧いたもの、出されたもの。選んでいないのに名前がある。
もうひとつ。名前が、食べる楽しさの一部になっている
別の読みを立てる。 ファン考察
この作品で食べる回は、うまいかどうかより、何を食べているかに 時間が使われているように見える。 音が付き、湯気が付き、名前が付く。
名前は、そのうちの一つなのかもしれない。 味は絵にできないが、名前は絵にできる。 字にして画面に置けば、読者の側で味が立ち上がる。
そう読むと、名前の細かさは仕組みの話ではなく、描きかたの話になる。 選ぶために要るのではなく、おいしそうに見せるために要る。
こちらの読みだと、選ばずにもらったものにも名前が付くことが説明できる。 いっぽう、なぜ食べ物にだけそうするのかは説明できない。 どちらの読みも、片側しか届いていない。
名前を付けた者は、やはり出てこない
二つの読みに共通していることがある。
品名を付けた者が、一度も描かれない。
店の名前を掛ける場面も、品書きを書く場面も、こちらは挙げられない。 名前は、はじめからそこにある。
これは、この世界で何度も出てくる形と同じだ。 級を決めた者がいない。禁止を出した者がいない。報酬の値を付けた者がいない。 名前も、同じ棚に入っている。
重心のありか
食べ物は六年ずっと固有名で描かれ、人物と道具と場所は 役とかたちと一文字で止まっている。その差を説明する場面は無い。
この世界でいちばん言葉が細かいのは、口に入るものだった。 いちばん粗いのが、誰であるかだった。 その並びかたが、この作品の重心を示していると思う。
まだわかっていないこと
- 名前の細かさが、選べることと結びついているのか 掘っていない
- 名前の無い食べ物が出る回があるのか 掘っていない
- 誰が品名を付けているのか 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。