食べ物の名前だけが、なぜ細かいのか
第1180話まで読んで書いています
先に結論考察
味は絵にできないが、名前なら字で置ける
- 食べ物だけが固有の名で、ほかはたぐいだ
- 役とかたちで呼ばれ、場所は名を持たない
- いちばん細かいのは、口に入るものになる
- いちばん粗いのが、誰であるかになる
- 字にして置けば、読む側で味が立ち上がる
この作品の食べ物には、名前が付きすぎている。
品の名、味の名、作りかたの名。しかも画面に字として出る。 ほかのものは、そこまで細かくない。 その差の話をする。
第5話から、もう細かい
いちばん早い時期から、この癖は出ている。
本編が始まって一か月のところで、飲み物は銘柄で、 焼いたものは商品名で描かれている。 事実(第5話) 種類ではなく、品そのものが指されている。
そのあとも変わらない。 汁粉がこしあんかどうかまで区別される。 事実(第402話) 島の品は、土地の名を前に付けた品名で出てくる。 事実(第571話) うどんには、解凍されたという状態まで付く。 事実(第898話)
六年ぶん、細かさが落ちていない。
ほかのものは、こうではない
キャラは役で呼ばれる。 労働の鎧さん、ラーメンの鎧さん。 古本の店に立つ者には、名前が字になった回が無い。
道具はかたちで呼ばれる。 札には武器とだけ書いてある。 事実(第627話) どんな武器か、何という武器かは出てこない。
場所は一字のこともある。 黄色い看板に、郎の一字。 事実(第465話)
考察/ここまでで言えること
食べ物だけが固有名を持ち、ほかは分類名で止まっている。
キャラは役で呼ばれる。道具はかたちで呼ばれる。場所は一字のこともある。 同じ画面に映っているのに、扱いがまるで違う。
そして、この差は六年ぶん落ちていない。 本編が始まって一か月のところで、もう飲み物は銘柄で描かれている。 事実(第5話)
つまり、名前の細かさは、ものの種類で決まっている。 古いか新しいかでも、大事かどうかでもない。 口に入るかどうかで分かれている。
選べるから、名前が要る
いちばん素直な読みはこれだと思う。 巷の説
名前が細かいのは、選ぶ必要があるからだ。 店に品書きがあり、棚に並び、どれにするかを決める場面がある。 迷う回もある。 事実(第1147話)
選ぶには、区別する言葉が要る。 こしあんかどうかが問題になるなら、こしあんという語が要る。
この読みは、逆もよく説明する。 キャラを選ぶ場面が無いから、キャラの名前は細かくなくていい。 武器を選ぶ場面が無いから、武器は武器でいい。
弱いところがある。 選ぶ場面のない食べ物も、細かい名前で出てくる。 もらったもの、湧いたもの、出されたもの。選んでいないのに名前がある。
もうひとつ。名前が、食べる楽しさの一部になっている
別の読みを立てる。 巷の説
名前は、そのうちの一つなのかもしれない。
考察/もう少し先まで読むと
味は絵にできないが、名前は絵にできる。
この作品で食べる回は、うまいかどうかより、何を食べているかに 時間が使われているように見える。 音が付き、湯気が付き、名前が付く。
字にして画面に置けば、読者の側で味が立ち上がる。
そう読むと、名前の細かさは仕組みの話ではなく、描きかたの話だ。 選ぶために要るのではなく、おいしそうに見せるために要る。
この読みだと、選ばずにもらったものにも名前が付くことが説明できる。 いっぽう、なぜ食べ物にだけそうするのかは説明できない。 どちらの読みも、片側しか届いていない。
名前を付けた者は、やはり出てこない
二つの読みに共通していることがある。
品名を付けた者が、一度も描かれない。
店の名前を掛ける場面も、品書きを書く場面も、出てこない。 名前は、はじめからそこにある。
これは、この世界で何度も出てくる形と同じだ。 級を決めた者がいない。禁止を出した者がいない。報酬の値を付けた者がいない。 名前も、同じ棚に入っている。
重心のありか
考察/いちばん先まで読むと
いちばん言葉が細かいのは口に入るもので、いちばん粗いのが誰であるかになる。
食べ物は六年ずっと固有名で描かれ、 キャラと道具と場所は役とかたちと一文字で止まっている。
そして、品名を付けた者も一度も描かれない。 級を決めた者がいない、禁止を出した者がいないのと同じ並びだ。
つまりこの世界では、いちばん細かい言葉にも、出どころが無い。 細かさと、確かさが別々になっている。 細かく書かれていることは、よく分かっていることを意味しない。
この読みの、弱いところ
食べ物の例は五つ、ほかのものは三つを引いている。
六年ぶん細かさが落ちていない、と言うには、 品名の出る回を拾いきったことが要る。 二つの読みがどちらも片側しか届かないことは、本文にも書いてある。
まだわかっていないこと
- 名前の細かさが選べることと結びついているか。選ぶ場面のない食べ物にも細かい名前が付く。もらったもの・湧いたものの名前を拾えば、割合が出る
絵を開いた 事実(第864話) 分かれ目は、選べるかどうかではなかった。第160話の、すき焼きセット、も第864話の、金貨チョコ、も、選んでいない(当たった・配られた)のに細かい名前が付く。どちらも包みか札がある。第475話の湧いたものには名前が付かず、湧いた、としか言われない。細かさは、包みや札があるかどうかで分かれている
- 名前の出るものと、出ないものの差。買ったものには字が付き、その場にあったものには付かないように見えるが、例外もある
絵を開いた 事実(第994話) 食べ物の回を開いて、字の有無で分けた。名前の無いものはあった。第994話では、輪っかだ!!、と言うだけで、その菓子の名前は最後まで出てこない。第1160話の、そのクリーム吸わせろッ、も品の名ではない。いっぽう第473話の朝定食、第610話のひとり焼肉、第628話の卵黄のせコンビーフ丼は、字として画面に出る。細かさは常ではない
- 誰が品名を付けているのか。品書きを書く場面も、店の名を掛ける場面も挙げられない。この世界は、名づけた者をいつも描かない
絵を開いた 事実(第21話) 名づけた者は出てこないが、名の付けかたに形はあった。第21話の、巨・ラムネ。第123話の、巨・オムライス。巨・を頭に付ける形が二度出ている。誰が付けたかは、どちらの回にも描かれない
この記事の方針
- 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
- ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
- 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
- あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
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