ひきだし

離れた相手に、どうやって伝えているのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

歩いて行ける相手には、手立てが要らない

  • 出るのは、もう会えない相手のときだけだ
  • 同じ紙が、距離で役目を変える
  • 会える者には礼、会えない者には居場所を
  • ものが残らないことと、同じ向きを向く
  • その場にあるものだけが、本当にある

この記事で、まだわかっていないこと 3

その場にいない相手へ、言葉を届ける場面がほとんど出てこない。 ほとんど、であって、無いではなかった。

長いあいだ「紙に字を書いて残す回は一つも無い」と書かれていた。 二つあった。 事実(第369話)

公式のお知らせに「⑤巻に登場する『オデ』の手紙」とあり、 持っているのに、見にいっていなかった。

会える相手には、要らない

手立てが無くても、ふだんは困らない。 用があれば行き、いなければ待つ。この世界の距離は、たいていその範囲に収まっている。

考察/ここまでで言えること

要らないから描かれない、と読むと、出てきた二通の置きかたがそろう。

歩いて行ける範囲では、紙に書くより行ったほうが早い。 だから紙が出るのは、足で埋められない差があるときだけだ。

一つは距離の差。もう一つは、言いそびれた分の差だ。

会えない相手から、一通だけ届く

ゴブリンがいた洞穴の前に、紙が置いてある。 事実(第369話) 拾い上げると「みんなへ」と書いてあり、三つが声を合わせて読む。 書いたオデは、うでっぷしが認められて用心棒になった、と知らせている。

読み終えたあと、もう会えないんだ、という言葉が続く。 届いた言葉と、会えないことが、同じ回に並んでいる。

会える相手へも、一通だけ渡る

ポシェットを売る店に、客が封筒を置いて走り去る。 事実(第151話) 残された紙には、パジャマサイコウーです、と書いてある。

こちらの回は、距離の話ではない。 客はその場にいたのに、口で言わずに紙で渡して、読まれる前に逃げている。 書く形が選ばれたのは、遠いからではない。

声のほうは、一方向に流れる

島の店で、さっき放送が流れたケド、と言う回がある。 事実(第689話) その場にいない者の言葉が、音として届いている。

ただしこれは名指しで届けるものではない。 誰が流したのかも、 どこから聞こえたのかも描かれない。みんなに向かって一方向に流れるだけだ。

遠くへ行く回で、形が変わる

船で渡る回がある。 事実(第665話) 何か月も向こうにいる。

そのあいだ、待つ側へ言葉が届いた場面は、出てこない。

行ってしまえば、帰るまで何も分からない。 一通が届いたのは、島ではなく、もう戻らないと決まったほうの相手からだった。

残っている側が、描かれない

島へ行った者を追う回は並んでいる。 残った者がそのあいだ何をしていたかは、思い出せない。

両方が描かれているなら、話は二本になる。 片方だけなら、この世界は「行った者」の側からしか描かれていないことになる。

手立てが無いのか、要らないのか

読みは二つに分かれていた。

ひとつ。この世界に、届ける手立てが無い。 巷の説 この読みは、もう置けない。 紙もポストも箱も絵に出ている。

ふたつ。あるけれど、描く必要が無かった。 巷の説 一回ぶんが短いので、その場にいない相手の話まで入らない。

支えが入れ替わった。 長いあいだ二つめの支えが弱いと書いていたのは、 残す形の回を一つも挙げられなかったからで、その数えかたのほうが間違っていた。

運ぶところだけが描かれない

紙を出す回がある。雨の中を走って、赤いポストに入れる。 事実(第157話) 紙が届く回もある。草の上に箱が置かれ、当たったことが紙で知らされる。

あいだが抜けている。 配る者も、通り道も、一度も描かれない。 出すところと着くところだけがあって、運ぶところが無い。

この読みの、弱いところ

紙の回は四つ、放送の回は一つを引いている。

残っている側が描かれない、と言うには、 島に残った側の映るこまを、106話から拾い直すことになる。 離れた場所と過ぎた時間が同じ、という読みは、本文も飛躍だと書いている。

ここから先は推測

この作品が「いま、ここ」しか描かないのは、 運ぶところを描かないことと、同じ一つの決めかもしれない。

これは飛躍だ。 書き割りが短いことの言い換えかもしれない。 それでも、二つが同じ向きを向いているのは確かだと思う。

いま挙げられる形

  • 紙に書いて残す形は二つある ── 洞穴の前の一通と、店先の一通
  • 一方向に流れるものは一つある ── 島の放送
  • 出す場所と受け取る場所はあるのに、運ぶ者がいない
  • 遠くへ行っているあいだ、何も届かない

考察/いちばん先まで読むと

ものが持ち越されないことと、言葉が届かないことが、同じ向きを向いている。

前の日のものは持ち越されない。持っていたはずのものが、次の回の手に無い。 声も残らない。離れた相手への言葉も、たいていは残らない。

そう並べると、ひとつの形に見えてくる ── この世界では、その場にあるものだけが本当にある。 離れた場所と、過ぎた時間は、同じように届かない。

これは飛躍だ。 一回ぶんが短いことの言い換えかもしれない。

そのうえで、残った一通の重さが変わる。 残らないはずのものが、一つだけ残って、会えない者の居場所を伝えている。

まだわかっていないこと

  • 会えない相手から届いた一通のほかに、離れたところから言葉が届く回があるか

    絵を開いた 事実(第369話) 一つ見つかった。第369話で、ゴブリンがいた洞穴の前に紙が置いてある。「みんなへ」と書いてあり、拾った三つが手紙だッ、と言う。書いたオデはその場にいない。読んだあと、もう会えないんだ、と言葉が続く。離れたところから言葉が届いた回は、いまのところここだけになる

  • 書いたものが、どこをどう通って相手のところまで行くのか。出す場面と受け取る場面はあるが、運ぶ者が出てこない

    絵を開いた 事実(第157話) 出す側は絵にある。第157話で、紙を切って貼ったものを持ち、雨の中を走って赤いポストに入れる。カコン、と音が出る。受け取る側も絵にある。第160話で、草の上に茶色い箱が置かれ、中の紙を、ご当選おめでとうございます、と読み上げる。あいだが無い。運ぶ者も、通り道も、一度も描かれない

  • 待っている側が何をしているのか。島へ行った者を追う回は並んでいるが、残った者の回を追えていない。両方あれば話は二本になる

    数えた 残った側は記録で追える。島の108話で、その場にいない者は書きとめから引ける ── 労働の鎧さんは島の108話に0話で、島のあとの107話に8話出てくる。残った側の回が並んでいないのではなく、そもそも描かれていない

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

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