ひきだし

取り合ったあと、ふたつはどうなるのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

次の回には、もとに戻っている

  • 紙に書いたものは残り、気持ちは残らない
  • しくみだけが積み上がり、暮らしは戻る
  • 残らないことが、仲の悪さを意味しない
  • 毎回もとに戻れることが、関係の形になる
  • 覚えていないのか、描かれないのかは不明

この記事で、まだわかっていないこと 3

取り合いは、よく起きる。

プリンを両方よこせと言い合う回がある。 事実(第891話) 干し芋を二本とも取って、転がっていく回がある。 事実(第1172話) イカ焼きのはしを、じゃんけんで決める回もある。 事実(第1173話)

そのどれも、次の回に残らない。

残らない、とはどういうことか

翌日の回で、前の日の取り合いが持ち出されることがない。

関係が、毎回もとの位置から始まる。

三つの読みかた

ひとつめ。一日で終わる形の作品だから。 一話ずつ切れているので、持ち越しようがない。

ただしこれは弱い。百話をこえて続く一続きがあるので、持ち越せないわけではない。

ふたつめ。取り合いが、けんかとして描かれていない。 よこせと言うのは、この作品ではやりとりの形に近い。 言われた側も、たいてい本気で困っていない。

みっつめ。残らないことじたいが、この世界の性質になっている。 食べたあとが描かれず、着たものが次の回に残らず、 泣いた理由があとで持ち出されない。 取り合いも、その並びの一つだ。

消えるものと、残るもの

並べてみると、線が見えてくる。

考察/ここまでで言えること

紙に書かれたものは残り、気持ちと出来事は残らない。

消えるもの ── 食べたあとの器、着たかぶりもの、涙、取り合い、その日の天気。 残るもの ── 級、番号、免許、資格、島から持ち帰ったという事実。

しくみだけが積み上がって、暮らしのほうは毎日もとに戻る。

そして、残る側には共通点がある ── どれも外から与えられて、字になっているものだ。 自分の側から出たものは、一つも残らない。

覚えていないのか、描かれないのか

ここが決まらない。

分ける手がかりが無い。

考察/もう少し先まで読むと

覚えていないのか、描かれないのかは分けられない。

覚えていないのだとすると、住人はその日ごとに関係を結び直していることになる。 描かれないだけだとすると、画面の外で何かが続いていることになる。

分ける手がかりが無い。 前を指す言いかたが作中から出る回はあるので、覚えていないとは言い切れない。

ここで気をつけたいのは、残らない側がこの作品の売りに見えてしまうことになる。 「その日で終わる世界」は、読みとしてきれいに収まる。 きれいに収まる読みほど、確かめないまま置かれやすい。

言いかたを変える

考察/いちばん先まで読むと

残らないことが、この作品では仲の悪さを意味していない。

取り合いは起きる。あとが残らない。 怒ったままの者もいない。謝る場面もない。

むしろ、毎回もとに戻れることのほうが、関係の形として描かれている。

そして、この作品には言い合いの途中が無い。 謝りから始まって、謝りで終わる。 取り合いも、途中を持たないまま終わる。

途中を持たないので、こじれようがない。 残らないのは、忘れているからではなく、 こじれる場所が作られていないからかもしれない。

この読みの、弱いところ

次の回に残らない、と言うには、 取り合いの回のあとを一つずつ当たることになる。引いているのは三つになる。

三つとも、同じ二年のうちに出た回だ。 六年ぶんのうち、そこだけを見ている。

まだわかっていないこと

  • 取り合いのあと関係がどうなっているのか。翌日の回で持ち出される場面が無い。取り合いの回の次の回を並べれば、触れる回があるかは決まる

    絵を開いた 事実(第1173話) 次の日の回を開いた。第1172話(8月28日)で、ほしいもは全部手に入れるんだよォ、どっちもよこしなッ、と取られる。第1173話(8月29日)はイカ焼きの回で、エンペラじゃんけん、で分けて、winner、と出る。前の日の取り合いに触れる言葉は一つも出ない。取った側も画面に入らない

  • 同じ相手と何度も取り合うことに意味があるのか。取り合いの回の相手を数えれば、偏りがあるかが出る。偏っていれば、相手の側に理由があることになる

    数えた 取りにくる側とされるモモンガは125話しか出ず、一緒に出る相手は年ごとに入れ替わる(2024年は古本屋と9、2025年はラッコと6、2026年は古本屋と4)。同じ相手と何度も続くことはない

  • 取られた側が覚えているのかどうか。分ける手がかりが無い。取られた側があとで同じものを取り返す回があれば、そこで決まる

    絵を開いた 事実(第1173話) 取り返す場面も、思い出す場面も無かった。第1173話はエンペラじゃんけんの回で、勝ったハチワレが、見られると笑っちゃう、と言いながら食べる。前の日のことに触れない。覚えているかどうかを分ける手がかりが、次の回には置かれていない

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

このサイトの使いかた

お気に入り

Xに書く スレッズに書く