うさぎはどこから来て、どこへ帰るのか
第1160話まで読んで書いています
先に結論
この問いは、作中で一度、正面から追いかけられている
「うさぎの家はどこか」は、読者が外から立てた問いではない。 作中の二人が、そう思って、実際にあとをつけている。
2022年10月の四日間だ。
第571話。 別れぎわに、二人が話す。どこに帰っているんだろう、と。 そのうさぎは、木の根もとでどんぐりを磨きはじめる。 確認済(第571話) 磨いたどんぐりの傘を、かぶる。
第572話。 ハチワレがうさぎに言う。 確認済(第572話)
いつもどこにいるのか気になって
このときちいかわが出しているのは「ム…」の一音だけだ。 そして二人もどんぐりの傘をかぶり、ついていく。 着いたのは、土手にあいた黒い穴だった。
第573話。 穴の奥に木の扉がある。叩くと、声が返る。 開いた先は、どんぐりの傘をかぶったものが何十といる地下の広間だった。 確認済(第573話) 「ティロリ」という音が鳴っている。
第574話。 うさぎはどんぐりを手にして音を出す側にまわり、広間がわく。 二人も傘をかぶって、その音のなかにいる。 帰り道で、二人はこう言う。 確認済(第574話)
でも結局、家じゃなかったね
作品自身が、家ではなかったと書いている。 この問いは、放置されているのではない。追いかけて、届かなかった。
この世界で、家は当たるもの
比べる相手を先に確かめておく。
ちいかわの家は、懸賞で当たったものだ。 確認済(第51話) ヨーグルトのキャンペーンに当選した、という紙が出てくる。 そして案内された先には、同じ形の丸い家がいくつも並んでいる。
ここが大事なところで、ちいかわの家は「もともと持っていたもの」ではない。 引き当てたものであり、規格品だ。
ハチワレのほうは岩あなで、朝の光が差す場面がある。 確認済(第384話)
つまりこの世界の住まいは、二種類しか描かれていない。 当たった丸い家か、もとからある岩あなか。 うさぎは、そのどちらの型にも当てはまらない。
見た目が入れ替わった十八話のあいだ
2021年12月から2022年1月にかけて、三人の見た目が入れ替わる話が続く。 確認済(第393話) うさぎのすがたをしたものが写真を見て、こう言う回がある。
なつかしくなっちゃった
見ているのは、自分の身体の写真だ。 つまり、この十八話のうさぎは、うさぎではない。
ここが、このサイトの数えかたが効くところだ。
| 回 | 映ったもの | 中にいるのは |
|---|---|---|
| 第383話 | 草の上の丸い家。鏡。跳ねる音 | ちいかわ |
| 第384話 | 岩あなの朝。きゅうりとお茶 | ハチワレ |
| — | — | うさぎの朝は来ない |
うさぎの家が映ったように見える回は確かにある。第383話だ。 けれどその回の丸い家は、当選した側の家であって、うさぎのものではない。
三人の見た目を入れ替えるところまでやった十八話で、 うさぎの起きる場所だけが一度も出てこない。
数えると、いちばん古い
本編1160話のうち、うさぎが出るのは499話(43.0%)。 そして第1話からいる。 確認済(第1話) ちいかわと二人でピザまんを半分にしている。
ハチワレが出てくるのは第28話だ。 確認済(第28話) 声をかけるかどうか迷う場面があり、出会いが描かれている。
出会いが描かれていないのは、うさぎだけが最初からいるからでもある。 「いつ会ったのか」ではなく、この作品はうさぎのいる状態から始まっている。
制度のなかには、ちゃんといる
住所は出てこない。けれど、書類は出てくる。
- 草むしり検定3級の札を持っている。顔写真が入っている 確認済(第100話)
- 同じ回で、ちいかわは5級を受けたと話している 確認済(第100話)
- 畑の名前をあてる問題に正解する回がある 確認済(第413話)
3級は5級より上だ。筆記のある試験に通っていて、写真つきの札がある。 この世界の記録には、うさぎはきちんと載っている。
載っていないのは、住んでいる場所だけだ。
語られている説
巷では「結局わからない」で止まることが多い。 ファン考察 そのうえで語られている読みを、根拠ごとに分ける。
説1 家はあるが、描かれる番が来ていない
いちばん多い読み。ハチワレの岩あなも初登場からしばらく出なかった、という筋。
この説だと説明できないこと。 第574話。 番が来ていないのではなく、二人が四日かけて行って、外れた。 出していないのではなく、出さないと決めて書かれた回がある。
説2 決まった住まいを持っていない
屋外で食べ、屋外で去る。そもそも家という形で暮らしていない、という読み。 夜はあちこちに出入りしている、という言われかたもする。
この説だと説明できないこと。 3級の札。 確認済(第100話) 写真つきの資格を持つ者が、どこにも属していないのは考えにくい。 試験の申し込みも、札の受け取りも、どこかに宛先が要る。
説3 地下の側の住人で、地上に通ってきている
第573話の広間を住処と読む見方。扉は叩けば開き、うさぎは音を出す側にいた。
この説だと説明できないこと。 二人の判定。 確認済(第574話) ずっとそばにいた二人が、あの場所を見て家ではないと言い切っている。 知っている者の判断を、外から覆す材料がこちらにはない。
説4 ほかの誰かが仕組んでいる側だ
うさぎが持ってくるものから、たびたび事が起きる、という読み。 実際、ゲームセンターを見つけて連れていくのはうさぎで、 確認済(第381話) メダルを隠していたことも後から出てくる。 確認済(第395話) その流れの先で、三人の見た目が入れ替わっている。
この説だと説明できないこと。 入れ替わった当人であること。 仕組む側なら、自分の身体まで手放す理由がない。
ここから飛躍する
ここから先は根拠が薄い。飛躍だと分かるように、節を分けて置く。 ファン考察
第574話でもう一度、誰が何を言ったかを見る。 「家じゃなかったね」と言ったのは二人だ。 うさぎは、この四日間、一度も否定していない。
そして二人が持っている家の見本は、第51話で出てきたものだ。 当選し、扉があり、同じ形で並んでいる丸いもの。
ここからこう読める。
家ではないと決めたのは、二人のほうだ
地下の広間には、扉がある。灯りがある。何十といる。音が鳴っている。 当たっていないし、同じ形で並んでもいないというだけだ。 二人の持っている見本に合わなかったので、外された。
うさぎがどこへ帰るかが分からないのではなく、 こちらの「家」という言葉のほうが、うさぎに届いていないのかもしれない、という向き。
これは飛躍だ。 うさぎがあの広間に住んでいる証拠は一つもないし、 「否定しなかった」は、いつものように何も言わなかっただけとも読める。 うさぎの言い分を数えないからこそ、こういう読みが作れてしまう。
よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと
- 蝶と入れ替わっているという説。 根拠に挙げられる回が、 こちらの並び(2023年9月まで)より後にある。突き合わせができない
- 夜はクラブにいるという言われかた。 地下の広間の四日間は確かめたが、 あれが夜だったかどうかは絵から決められない
- 呪いの杖・お土産石を持ちこんだという流れ。 該当しそうな回はあるが、 まだ絵にあたっていない
追いかけて、外れた
帰る先を描いた回に、まだ行きあたっていない。
残っているのは、一度追いかけて、外れたという一日だけになる。 そして外れた先が、扉と灯りのある広間だったということ。
そのあと、二人はこの話を続けていない。 聞き直しもしないし、もう一度ついていきもしない。
四日ぶん追いかけて、そこでやめた。 この作品がうさぎについてしたいちばん大きな仕事は、 たぶん、やめたところにある。
まだわかっていないこと
- 夜をどこで過ごすのか 掘っていない
- 地下の広間とうさぎがどうつながっているのか 掘っていない
- ちいかわ・ハチワレと、いつどこで会ったのか 掘っていない
- 食べ物をどこから持ってくるのか 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。