うさぎは、どこから来てどこへ帰るのか
第1180話まで読んで書いています
先に結論考察
追いかけた回がある。四日かけて届かない
- 家ではないと決めたのは、ふたつだ
- 当たってもいないし、並んでもいない
- 住所は出てこないのに、書類は出てくる
- この世界の記録には、きちんと載っている
この問いは、作中で一度、正面から追いかけられている
2022年10月の四日間だ。
第573話。 別れぎわに、ふたつが話す。どこに帰っているんだろう、と。 そのうさぎは、木の根もとでどんぐりを磨きはじめる。 事実(第573話) 磨いたどんぐりの傘を、かぶる。
第574話。 ハチワレがうさぎに言う。 事実(第574話)
いつもどこにいるのか気になって
このときちいかわが出しているのは「ム…」の一音だけだ。 そしてふたつもどんぐりの傘をかぶり、ついていく。 着いたのは、土手にあいた黒い穴だった。
第575話。 穴の奥に木の扉がある。叩くと、声が返る。 開いた先は、どんぐりの傘をかぶったものが何十といる地下の広間だった。 事実(第575話) 「ティロリ」という音が鳴っている。
第576話。 うさぎはどんぐりを手にして音を出す側にまわり、広間がわく。 ふたつも傘をかぶって、その音のなかにいる。 帰り道で、ふたつはこう言う。 事実(第576話)
でも結局、家じゃなかったね
考察/ここまでで言えること
この問いは、放置されているのではない。追いかけて、届かなかった。
「うさぎの家はどこか」は、読者が外から立てた問いではない。 作中のふたつが、そう思って、実際にあとをつけている。 四日かけて。 事実(第576話)
そして、作品自身が「家ではなかった」と書いている。
この作品は、ふだん問いを立てない。 住人は、互いに何であるかを聞かず、出どころも尋ねない。 ここだけ、作中から追いかけが起きている。 起きて、外れた。
この世界で、家は当たるもの
比べる相手を先に確かめておく。
ちいかわの家は、懸賞で当たったものだ。 事実(第52話) ヨーグルトのキャンペーンに当選した、という紙が出てくる。 そして案内された先には、同じ形の丸い家がいくつも並んでいる。
ここが大事なところで、ちいかわの家は「もともと持っていたもの」ではない。 引き当てたものであり、規格品だ。
ハチワレのほうは岩あなで、朝の光が差す場面がある。 事実(第386話)
つまりこの世界の住まいは、二種類しか描かれていない。 当たった丸い家か、もとからある岩あなか。 うさぎは、そのどちらの型にも当てはまらない。
見た目が入れ替わった十八話のあいだ
2021年12月から2022年1月にかけて、三つの見た目が入れ替わる話が続く。 事実(第395話) うさぎのすがたをしたものが写真を見て、こう言う回がある。
なつかしくなっちゃった
見ているのは、自分の身体の写真だ。 つまり、この十八話のうさぎは、うさぎではない。
ここが、数えかたの効くところだ。
| 回 | 映ったもの | 中にいるのは |
|---|---|---|
| 第385話 | 草の上の丸い家。鏡。跳ねる音 | ちいかわ |
| 第386話 | 岩あなの朝。きゅうりとお茶 | ハチワレ |
| — | — | うさぎの朝は来ない |
うさぎの家が映ったように見える回は確かにある。第385話だ。 けれどその回の丸い家は、当選した側の家であって、うさぎのものではない。
三つの見た目を入れ替えるところまでやった十八話で、 うさぎの起きる場所だけが一度も出てこない。
第1話からいる
本編1209話のうち、うさぎが出るのは517話(42.8%)。 そして第1話からいる。 事実(第1話) ちいかわとふたつでピザまんを半分にしている。
ハチワレが出てくるのは第29話だ。 事実(第29話) 声をかけるかどうか迷う場面があり、出会いが描かれている。
出会いが描かれていないのは、うさぎだけが最初からいるからでもある。 「いつ会ったのか」ではなく、この作品はうさぎのいる状態から始まっている。
制度のなかには、ちゃんといる
住んでいる場所は出てこない。それでも、書類のほうは出てくる。
3級は5級より上だ。筆記のある試験に通っていて、写真つきの札がある。 この世界の記録には、うさぎはきちんと載っている。
載っていないのは、住んでいる場所だけだ。
よく言われている説
巷では「結局わからない」で止まることが多い。 巷の説 そのうえで語られている読みを、根拠ごとに分ける。
説1 家はあるが、描かれる番が来ていない
いちばん多い読み。ハチワレの岩あなも初登場からしばらく出なかった、という筋。
この説だと説明できないこと。 第576話。 番が来ていないのではなく、ふたつが四日かけて行って、外れた。 出していないのではなく、出さないと決めて書かれた回がある。
説2 決まった住まいを持っていない
屋外で食べ、屋外で去る。そもそも家で暮らしていない、という読み。 夜はあちこちに出入りしている、という言われかたもする。
この説だと説明できないこと。 3級の札。 事実(第101話) 写真つきの資格を持つ者が、どこにも属していないのは考えにくい。 試験の申し込みも、札の受け取りも、どこかに宛先が要る。
説3 地下の側の住人で、地上に通ってきている
第575話の広間を住処と読む見方。扉は叩けば開き、うさぎは音を出す側にいた。
この説だと説明できないこと。 ふたつの判定。 事実(第576話) ずっとそばにいたふたつが、あの場所を見て家ではないと言い切っている。 知っている者の判断を、外から覆す材料は出てこない。
説4 ほかの誰かが仕組んでいる側だ
うさぎが持ってくるものから、たびたび事が起きる、という読み。 実際、ゲームセンターを見つけて連れていくのはうさぎで、 事実(第383話) メダルを隠していたことも後から出てくる。 事実(第397話) その流れの先で、三つの見た目が入れ替わっている。
この説だと説明できないこと。 入れ替わった当人であること。 仕組む側なら、自分の身体まで手放す理由がない。
この読みの、弱いところ
追いかけの四日は四つの回、資格の札は一つになる。
十八話のうさぎが別の者だ、という読みは、一つの回の言葉に乗っている。 家という言葉が届いていない、という読みも、本文が飛躍だと書いている。
ここから先は推測
ここからこう読める。
考察/もう少し先まで読むと
家ではないと決めたのは、ふたつのほうだ。
「家じゃなかったね」と言ったのはふたつだ。 うさぎは、この四日間、一度も否定していない。
そしてふたつが持っている家の見本は、第52話で出てきたものだ。 事実(第52話) 当選し、扉があり、同じ形で並んでいる丸いもの。
地下の広間には、扉がある。灯りがある。何十といる。音が鳴っている。 当たっていないし、同じ形で並んでもいないというだけだ。
ふたつの持っている見本に合わなかったので、外された。
うさぎがどこへ帰るかが分からないのではなく、 「家」という言葉のほうが、うさぎに届いていないのかもしれない。 これは飛躍だ。
これは飛躍だ。 うさぎがあの広間に住んでいる証拠は一つもないし、 「否定しなかった」は、いつものように何も言わなかっただけとも読める。 うさぎの言い分を数えないからこそ、こういう読みが作れてしまう。
まだわかっていないこと
- 夜をどこで過ごすのか。三つの見た目が入れ替わる十八話で、ちいかわの朝もハチワレの朝も描かれた。うさぎの朝だけが来ない
数えた このキャラだけで出る回は5話しかない(517話のうち1%で、13キャラの中でいちばん低い)。ひとつきりでいる場面そのものが少ないので、夜をどこで過ごすかが映る機会も少ない
- 地下の広間とうさぎがどうつながっているのか。うさぎは音を出す側にまわっていた。同じ広間が別の回に出るかを探せば、通っているかどうかは分かる
確かめる道が無い 同じ広間が別の回に出るかは、背景を記録しないと追えない。キャラまでしか書いていない
- ちいかわ・ハチワレといつどこで会ったのか。第1話からいる。出会いが描かれていないのは、この作品がうさぎのいる状態から始まっているからになる
数えた 初出は第1話で、ちいかわと同じ回だ。出会いが描かれていないのは、この作品がこのキャラのいる状態から始まっているからになる
この記事の方針
- 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
- ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
- 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
- あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
お気に入り
この端末のなかに残ります。お気に入りに一覧が出て、 そこから前後の回へも行けます。もう一度押すと取り消せます。
忘れたころに、もう一度
- いま
- 何も起きません。この記事の名前が、この端末のなかに残るだけです。
- 90日後
- トップページに、この記事が一度だけ出ます。出たら記録は消えます。
- なぜ
- 90日のあいだに、本編は30話ほどふえます。 同じ記事でも、そのころには確かめられることが変わっています (記事の頭に、何話まで読んで書いたかが出ています)。
置いたものの一覧は出しません。数も、残りも出しません。 覚えておくのはこちらの仕事なので、置いたことは忘れてかまいません。 この端末から外には出ません。