歌を止めるのに、歌がつかわれている
第1163話まで読んで書いています
先に結論
この作品は、ほとんどのことを説明しない。 討伐がなぜあるのかも、鎧の下に何があるのかも出てこない。
歌のところだけ、条件まで言葉にされる。 しかも、その条件を使った作戦が立てられ、実行される。
力があることが、先に言われる
第709話。大きな口が開き、緑のつるが一気に伸びて住人を囲む。 確認済(第709話) そのとき、こう名指しされる。
セイレーンの不思議な歌の力
効きめが先に出て、理由は出ない。 ここまではこの作品らしい。
条件のほうが、二段階で出てくる
第712話。 逃げているあいだに、つるの伸びが鈍る。 確認済(第712話) 理由がその場で言われる。
メインボーカルのセイレーンと離れたからだ!!
離れると弱まる。位置の条件が一つ出た。
第751話。 今度はもっとはっきりする。 確認済(第751話) 歌っている側が、仲間にこう言う。
コーラスちゃんとしてッ!!
そして、見ていた側が理屈をまとめる。
歌の力は弱まる
そろわないと弱まる。編成の条件が出た。
説明しないことで成り立っている作品が、ここだけ二回説明している。
そこへ、うさぎの声が入る
第713話。岩のあいだから歌声が聞こえてくる。 確認済(第713話) うさぎがそれに応じて、ハ行とラ行のまじった声を返す。 聞いていたハチワレが言う。
それってラップ!?
すると、水の中の者たちがつられて合わせはじめる。 そして、伸びていた緑が止まる。
うさぎは戦っていない。いつもの声を出しただけに見える。 けれど結果として、相手の編成が崩れた。
作戦として組み直される
第749話。追いつめられた場面で、作戦が出る。 確認済(第749話)
リズム感のある者たちッ
名指しされたのは三人。うさぎと、モモンガと、くりまんじゅうだ。 声を出すことが、役として割り当てられている。
第751話では、その三人が実際に乱しにいく。 確認済(第751話) つるの動きが鈍くなったところで、料理の支度が始まる。
映画のサウンドトラックには、この場面にあたる曲が 二つの版で入っている。ひとりで返す版と、三人でやる版だ。 確認済(サウンドトラックのクレジット) 曲名に「リズム感のある者たち」がそのまま使われている。 本編の台詞が、そのまま曲の題になっている。
うさぎの声は、もともと歌ではない
ここで確かめておきたいことがある。
うさぎの「ウラ」は、歌として描かれてきたわけではない。 第25話ではその場でまわりながら叫んでいるだけだし、 確認済(第25話) 第157話でも、草むらの中で声を上げているだけだ。 確認済(第157話) 音符もつかない。
島でだけ、それが歌として扱われる。 ハチワレが「ラップ」と呼び、相手がコーラスとして受け取る。
つまり、声は変わっていない。受け取る側が変わっている。
効いた理由として言われていること
「なぜうさぎの声が効いたのか」について。 ファン考察
読み1 合わないから乱せた
相手はそろえて歌う者たちで、そろわないと弱まる。 確認済(第751話) そこへまったく合わない声が入れば、そろわなくなる。 効いたのは中身ではなく、合わなさのほうだ、という読み。
この読みだと説明できないこと。 相手が合わせにいっている。 確認済(第713話) 合わない声のはずなのに、真似をされている。 合わなさが効いたのなら、真似される理由がない。
読み2 つられてしまう側の性質
歌う者たちのほうに、聞こえた音に合わせてしまう性質がある、という読み。 歓迎の場でも、屋台の呼び声をそのまま歌っていた。 確認済(第678話) 覚えて返すのが、もともとの振る舞いだったことになる。
この読みだと説明できないこと。 それなら誰の声でも効く。 なぜ三人だけが名指しされたのかが残る。
読み3 力の出どころが、そろっていることのほうにある
歌の中身に力があるのではなく、そろって鳴っている状態に力がある。 だから、そろいを崩せば止まる。中身は関係ない。
この読みだと説明できないこと。 ひとりで歌う場面でも効いている。 確認済(第708話) そろう前から、つるは伸びている。
ここから飛躍する
ここから先は根拠が薄い。飛躍だと分かるように、節を分けて置く。 ファン考察
この編で使われた武器を並べてみる。 手渡された道具があり、料理があり、そして声がある。 確認済(第686話)
そのうち、相手に届いて効いたのは声だけだった。 道具のほうは、当たっても壊れる。 確認済(第712話)
ここからこう読める。
この相手には、同じ種類のものしか届かない
歌で来る相手には歌で。討伐の形をしていない討伐が、 この編でだけ成立している。
これは飛躍だ。 料理のほうも効いている。 最後にどう終わったかを、こちらは並べきれていない。
よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと
- 映画での扱い。 曲が二つの版で入っていることは分かるが、 映画のどの場面でどう鳴るかは突き合わせていない
- くりまんじゅうが何をしていたか。 名指しはされているが、 確認済(第749話) 実際に音を出している絵を、こちらは確かめられていない
- その後。 歌の力がどうなったかは、この記事では追っていない
説明されたのが、ここだけだった
この作品で、仕組みが言葉になった場所は少ない。 そのうちのひとつが、歌の力だった。
しかも説明されたのは、効きめと、弱まる条件だけだ。 なぜ歌に力があるのかは、一度も出てこない。
条件だけが分かっていて、理由が分からない。 それでも作戦は立つし、実際に効く。
分からないまま使えてしまうという形が、 この編でいちばん奇妙なところだと思う。
まだわかっていないこと
- 歌に力がある仕組み 掘っていない
- うさぎの声が、なぜ相手の歌を乱せるのか 掘っていない
- 乱すことを、うさぎ自身が分かっていたのかどうか 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。