歌詞を伏せているのは、こちらだけではなかった
第1163話まで読んで書いています
先に結論
このサイトは、歌詞を一行も載せないと決めている。 歌は絵とは別の権利で管理されていて、こちらが決めた30字で切ると、 意味そのものが変わってしまうからだ。
決めたときは、これをこちらの都合だと思っていた。 読みにくくなるのを承知で引き受けた縛りだ、と。
絵を開いていったら、そうではなかった。
この作品は、歌の言葉を書かない
第398話。遊技場の筐体に絵が三つ揃うと、大きな口が開いて歌いだす。 絵に描かれているのは、「ラ」の一文字のくり返しだけだ。 確認済(第398話) ハチワレはそれを聞いて、こう言う。
この曲って…
曲だと分かっている。 分かっているのに、言葉は一つも書かれていない。
同じ描きかたが、いくつもの回にある。 確認済(第437話) 夜道で口ずさむ声も、水の中から聞こえる合唱も、 かがり火のまわりで肩をゆらす列も、 文字としては「ラ」か「タ」か「ル」しか置かれていない。
二回、登場人物のほうが説明してしまっている
ここが、いちばん驚いたところだ。
第377話。 ハチワレが野の花をマイクにして歌う。 確認済(第377話) ラ行がならんだあとに、「ひかり」と「きぼお」の二語だけが混ざる。 そしてこう言う。
歌詞…うろ覚えだけど…
書かれていないのは、覚えていないからだった。 絵の中の文字は、この作品の語り手が記した歌詞ではなく、 歌っている者の頭の中の再生だったことになる。
第179話。 大きなスピーカーの前に住人が集まっている。 確認済(第179話) ちいかわとハチワレが並んで口ずさみ、ところどころで言葉になる。 そのあいまに、こう挟まる。
ここの歌詞…むずかしいよね…
歌詞について話している。 歌詞は、この世界でも 「全部は分からないもの」として扱われている。
つまり、伏せるのは方針が先ではなかった
並べると、こうなる。
| 誰が伏せているか | |
|---|---|
| このサイト | 権利のことがあるので、載せない |
| 本編 | 歌っている者が覚えていないので、書かれない |
理由はまったく違う。結果は同じ形になっている。
歌詞を載せないという決めは、このサイトが作品に押しつけた縛りではなく、 作品がもともとやっていることに、たまたま重なっていた。
だからこのページは、歌詞の代わりに何を置くかで悩まなくてよかった。 作品と同じものを置けばいい。 節の形と、誰が歌っていたかと、 そのとき何が起きたか。
引かない。かわりに、読める場所へ送る
とはいえ、「歌詞が知りたい」で来た人を手ぶらで帰すのは別の話だ。 そこで、このサイトはこうしている。
- 歌詞は一行も置かない(曲名・作詞・作曲・歌い手・どこで使われたかは書く)
- 正規の歌詞のページへ、一本だけ送る。 送り先は、許諾を受けて 歌詞を載せているところに限る。書き写しただけのページへは送らない
- 歌のデータに、歌詞を入れる欄をそもそも作っていない。 欄が無ければ、うっかり貼ることもできない。ビルドが毎回そこを見る
三つめは、この記事でいちばん地味で、いちばん効いている。 決めごとを心がけで守ると、忙しいときに崩れる。形で守れば崩れない。
作品の外の歌
| 曲 | どこで | 作詞 | 作曲 | 仕立て直し | 歌 | 歌詞 | 聞く |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| くつずれ | オープニング | ナガノ | トクマルシューゴ | トクマルシューゴ/上水樽 力 | ハチワレ(田中誠人) | 読む | 公式 |
| 机さする | エンディング | ナガノ | トクマルシューゴ | トクマルシューゴ/上水樽 力 | ちいかわ(青木遥) | 読む | 公式 |
| 島のうた | 島の歓迎から見送りまで | — | トクマルシューゴ | トクマルシューゴ/上水樽 力 | 島民 | — | 公式 |
| 島のうた(セイレーンver.) | セイレーンと人魚が歌う場面 | — | トクマルシューゴ/上水樽 力 | トクマルシューゴ/上水樽 力 | セイレーン(鈴木みのり)/人魚(大木咲絵子・七瀬彩夏) | — | 公式 |
| うさぎラップ(ソロver.) | うさぎが返した歌 | — | トクマルシューゴ | トクマルシューゴ | うさぎ(小澤亜李)/人魚(大木咲絵子・七瀬彩夏) | — | 公式 |
| うさぎラップ(リズム感のある者たちver.) | 三人で乱しにいく場面 | — | トクマルシューゴ | トクマルシューゴ | うさぎ(小澤亜李)/モモンガ(井口裕香)/人魚(大木咲絵子・七瀬彩夏) | — | 公式 |
| 今日の日はさようなら(ハチワレver.) | かがり火の夜 | 金子詔一 | 金子詔一 | トクマルシューゴ | ハチワレ(田中誠人) | 読む | 公式 |
| 今日の日はさようなら(合唱ver.) | 同じ夜の、声がふえたほう | 金子詔一 | 金子詔一 | トクマルシューゴ/上水樽 力 | ハチワレ/シーサー/島二郎/島民 | 読む | 公式 |
| 曲 | どこで | 作詞 | 作曲 | 仕立て直し | 歌 | 歌詞 | 聞く |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ひとりごつ | テレビアニメ 第11話 | ナガノ | トクマルシューゴ | — | ハチワレ(田中誠人) | 読む | 公式 |
| むちゃうマンのテーマ | テレビアニメ | ナガノ | トクマルシューゴ | — | むちゃうマン(影山ヒロノブ) | — | — |
| パジャマパーティーズのうた | テレビアニメ | — | — | — | みどり(諸星すみれ)/ぴんく(長縄まりあ)/しろ(篠原侑)/むらさき(内山茉莉) | — | — |
| いたずらなこころ | テレビアニメ 第368話 | ナガノ | トクマルシューゴ | — | — | — | — |
絵の中で鳴っている、外の曲
この世界の住人が歌っているのに、この世界で作られたのではない曲がある。 どれも絵を開いて確かめた。
| 曲 | 何の曲か | 作詞 | 作曲 | 絵で確かめた回 | 歌詞 |
|---|---|---|---|---|---|
| グーチョキパーでなにつくろう | 手あそびの歌 | 斉藤二三子 | フランス民謡 | 第141話 | — |
| BELIEVE | 合唱曲 | 杉本竜一 | 杉本竜一 | 第179話 | — |
| 波のピエロ | 合唱曲 | 土肥 武 | 平吉毅州 | 第403話・第626話 | — |
| 時の旅人 | 合唱曲 | 深田じゅんこ | 橋本祥路 | 第431話・第432話・第433話 | 読む |
| 青雲のうた | お線香の広告の歌 | 吉野藤丸 | 森田公一 | 第377話・第554話・第555話 | — |
| マックスバリュの歌 | お店の歌 | — | — | 第894話 | — |
| 春の海 | 正月に流れる曲 | — | 宮城道雄 | 第944話 | — |
| ハッピーバースデートゥーユー | 誕生日の歌 | — | — | 第457話 | — |
この世界で生まれた歌
曲としては世に出ていないが、絵の中で鳴っているもの。
| 歌 | どこで鳴るか | 絵で確かめた回 |
|---|---|---|
| すきやきの歌 | 鍋をかこむ場面 | 第162話・第388話 |
| 腸内環境の歌 | 試食の売り場 | 第255話 |
| 新芽 | パジャマパーティーズの曲 | 第850話 |
| セイレーンの歌 | 檻と暗がりのこと | 第708話・第745話 |
| ツェーツェーの歌 | 杖を持って踊る場面 | 第74話 |
| みかんの歌 | 鎧さんがひとりで | 第937話 |
| 5級の歌 | 合格した帰り道 | 第1038話 |
| クリーンタイムの曲 | 床をこすりはじめる合図 | 第1111話 |
| ハチワレの新曲 | ギターを持って | 第1147話 |
これで全部だとは言えない。 歌は絵の中で鳴っているもので、 人物の札には残らない。見落としたぶんは、この表に出てこない。 未確定
伏せる理由として挙げられているもの
「なぜ言葉を書かないのか」について。 ファン考察
説1 権利のことを、作者の側も避けている
実在の曲がそのまま歌われる回がいくつもある。 確認済(第431話) 言葉をそのまま書けば、絵の中に他人の歌詞を置くことになる。 「ラララ」にしておけば、そこは避けられる。
この説だと説明できないこと。 言葉が書かれている回がある。 合唱曲の一節が、ほとんどそのまま出ている回がある。 確認済(第432話) 避けるのが目的なら、そこは徹底されるはずだ。
説2 覚えていないことのほうを描いている
第377話が言っているとおりに読む。 確認済(第377話) 歌の中身ではなく、うろ覚えで歌う姿が描きたいものだった、という見かた。
この説だと説明できないこと。 覚えていないはずのない歌も伏せられている。 自分たちで作って、その場で歌っている歌まで ラ行だけで書かれる回がある。 確認済(第437話)
説3 音として置いているだけで、意味を持たせていない
ふきだしの中の「ラ」は言葉ではなく、絵の一部だという読み。 黄色く太く描かれていて、読ませるより先に見せている。
この説だと説明できないこと。 聞いた側が反応している。 曲だと分かり、題を言い当て、いっしょに歌いだす。 確認済(第829話) 音でしかないなら、そこまで通じない。
説4 読む側に、自分の知っている歌を入れさせている
「ラララ」に置きかえると、読者はそこへ自分の記憶から音を持ちこむ。 実在の曲が混ざっているのは、そのきっかけになる。
この説だと説明できないこと。 曲を知らない読者には何も起きない。 それでも場面は成立している。
ここから飛躍する
ここから先は根拠が薄い。飛躍だと分かるように、節を分けて置く。 ファン考察
この作品は、説明しないことで成り立っている(このサイトの見かた)。 その「説明しない」が、歌のところでだけ、かたちを変えているように見える。
ほかのことは、説明されないまま言葉としては描かれる。 討伐も、鎧の下も、湧きドコロも、言葉は出てくる。出てこないのは理由のほうだ。
歌だけが逆になっている。理由は説明されるのに、言葉のほうが消える。 歌の力が弱まる条件は、はっきり言葉にされた。 確認済(第751話) その歌が何と歌っていたかは、最後まで書かれない。
これは飛躍だ。 「ラララ」で描くのは漫画のふつうの書きかたで、 この作品に限ったことではない。意味を読みすぎている。
それでも、うろ覚えだと本人が二度言っているのは、 ふつうの書きかたの範囲を少し出ている。
よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと
- アニメでの鳴りかた。 絵の中で「ラララ」になっている歌が、 アニメでは言葉つきで歌われていることがある。 こちらが並べているのは公式Xの投稿だけなので、そこは書けない
- 巷で挙げられている曲のうち、回を特定できていないもの。 行進曲、牧場の歌、売り場の呼び込み、冬の歌などが挙げられている。 絵にあたれていないので、表には入れていない
- 「ラララ」が全部で何回出てくるか。 数えられていない。 こちらの記録は絵から拾ったもので、拾い漏れがある
伏せかたが、二重になっている
歌詞を載せないと決めたとき、これは読みにくさを引き受ける判断だと思っていた。
開いてみたら、作品のほうが先に伏せていた。 覚えていないから、書けない。むずかしいから、そこだけ飛ぶ。
このサイトが歌詞を置かないのは、権利のためだ。理由は違う。 けれど、画面に出るものはほとんど同じになる。
聞こえていたことは書ける。何と歌っていたかは書けない。 それは、この作品を読んでいるときの手ざわりに、いちばん近い。
まだわかっていないこと
- 歌の言葉を伏せる描きかたが、決めごとなのかどうか 掘っていない
- 「ラララ」の下に、書かれていない言葉があるのかどうか 掘っていない
- うろ覚えで歌う場面が、くり返し出てくる理由 掘っていない
一つずつ、掘り進めていきます。埋まらないまま残るものもあります。
この記事の方針
- 「確認済」と書けるのは、公式アカウントの投稿で照合できたことだけです。確認した話数を必ず添えています。
- ファンのあいだで語られている説は「ファン考察」と明示し、事実と混ぜません。
- 作中で説明されていないことは「未確定」のまま置きます。埋めません。
- まとめサイトや考察ブログは、語られている説を知るために読んでいます。読んだ文章や表を写さず、自分の言葉で書き直しています。そこで見たことを「確認済」にはしません。
- こちらで確かめられなかったことは、確かめていないと書いて出します。「よく挙げられるが、こちらでは確かめていないこと」の節がそれです。
- 根拠の薄い読みを載せるときは、節を分けて「ここから飛躍する」と書きます。本文に混ぜません。
- あらすじの再構成や、セリフの長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。
読み終わらなくても、ここで置いていけます。90日たったら、トップで一度だけまた出します。