ひきだし

笑う顔とつらい顔は、見分けられるのか

第1180話まで読んで書いています

先に結論考察

見分ける合図が、この作品には出てこない

  • ふつうなら、こわい場面で絵が変わる
  • 合図が無いので、読む側が自分で決める
  • 続きを知って戻ると、笑顔が別に見える
  • 印が無いこと自体が、中身かもしれない
  • しのいでいる顔が、笑っている顔と同じだ

この記事で、まだわかっていないこと 3

笑う場面がある。声を立てる回、顔がゆるむ回。 早い時期には、跳ねてクスクス笑う回がある。 事実(第11話) たいていは、楽しい場面に見える。

見えるのだが、そうでない回が混ざっている。

笑いが、仕掛けの側にある回

いちばんはっきりしているのがこれになる。

笑うと負けよ、という声が出る。 事実(第641話) 虹のかかった背景があって、そのあとに音が入る。

ここでは、笑うことが仕掛けの側にある。 笑ったら困ることになる。楽しさとは逆向きだ。

別の回では、汗のういたかぶりものをつけて、 くりかえしの声を出しながら客席へ走る。 事実(第872話) 楽しそうな見た目のまま、しんどいことが起きている。

大鍋のカレーをひとなめして、赤くなって倒れる回もある。 事実(第748話) そこも、絵としては明るい。

絵柄が、変わらない

ここが、この作品のいちばん特徴的なところだと思う。

こわい回でも、線はやわらかいまま。

そして、笑いが仕掛けの側にある回もある ── 笑うと負けよ、と言われる回。 事実(第641話) 楽しそうな見た目のまま、しんどいことが起きている回。 事実(第872話)

考察/ここまでで言えること

ふつうの漫画なら、こわい場面で描きかたが変わる。この作品は、その合図を出さない。

暗くならない。線が太くならない。目が鋭くならない。 笑っている顔も、しんどい顔も、同じ線で描かれる。

ふつうなら、影が入り、線が変わり、コマの形が変わる。 それが読者への合図だ。

合図が無いところに、逆向きの場面が置かれている。

合図が無いと、どうなるか

二つのことが起きる。

考察/もう少し先まで読むと

合図が無いので、読者が自分で決めることになる。

この笑顔は楽しいのか、しんどいのか。 絵は教えてくれないので、前後の場面から決める。

そして、同じ絵が、あとで違って見える。 読み進めて、その回の続きを知ってから戻ると、 同じ笑顔が別のものに見える。

巷でこの作品が「かわいいのにこわい」と言われるのは、 たぶんここが効いている。 巷の説 こわいものが、こわい顔で描かれていない。

つまり、こわさは絵の中ではなく読んだ順番のほうにある。

見分ける印は、あるのか

そこで、確かめたいことが出てくる。

楽しい笑顔と、そうでない笑顔を見分ける印が、絵の中にあるのか。

汗。目の形。口の開きかた。手の位置。 どれかが安定して違っていれば、印だ。

各話に付けてある短い言葉には、「笑う」と書いた回はあっても、 どんな笑いかたかまでは書いていない。

そして、これは言葉では数えられない。絵を見るしかない。 1209話ぶん、笑っている場面を並べて見比べる仕事だ。

やっていないので、まだ開いていない。

見分けられないほうが、作品に近いかもしれない

最後に、ひとつだけ読みを置いておく。 巷の説

印が無いことが、この作品のやりかたなのかもしれない。

考察/いちばん先まで読むと

印が無いこと自体が、描かれている中身かもしれない。

楽しいときと、そうでないときで、顔が変わらない。 それは、どちらも同じ顔でやり過ごしているということでもある。

この作品には、責める場面が少ない。 困ったことが起きて、しのいで、次の日だ。 しのいでいるあいだの顔が、笑っている顔と同じなのだとしたら、 それは絵の都合ではなく、描かれている中身のほうだ。

そして、これは涙の描かれかたとそろう ── 涙をためた目のまま、口もとが上がっている回がある。 目と口が別の向きを向いたまま、線は変わらない。

これは読みで、確かめていない。 確かめるには、やはり絵を並べることになる。

この読みの、弱いところ

逆向きの回は三つを引いている。

合図を出さない、と言うには、 笑う場面を並べて見比べることになる。それはまだ開いていない。 印が無いこと自体が中身だ、という読みも、確かめていないと本文に書いてある。

まだわかっていないこと

  • 笑顔を見分ける印が絵の中にあるか。汗、目の形、口の開きかた、手の位置。どれかが安定して違っていれば印だ。言葉では数えられないので、絵を並べることになる

    確かめる道が無い 汗・目の形・口の開きかた・手の位置は、どれも書きとめにも三つのことばにも残らない。絵を並べる仕事になる

  • 笑いが仕掛けの側にある回がほかにもあるか。笑うと負けよ、のような回を探せば決まる。数が増えれば、笑いの扱いが二通りあることが確かになる

    確かめる道が無い 笑うと負けよ、のような回を探すには吹き出しを拾うことになる。三つのことばには残っていない

  • 絵柄が変わらないことが意図されたものなのか。作り手の側にしかない。こわい回と明るい回で線の太さを測れば、変わっていないことだけは確かめられる

    決めて作った 作り手の側にしかないので、測らないと決めた。線の太さを比べれば変わっていないことは言えるが、変わっていないことと、そう意図されたことは別だ。意図のほうは絵をいくら並べても出てこない(同じ形の問いを、伏線の記事でも同じところで止めている)。ここは、出てこないと書くところまでにする

この記事の方針

  • 「事実」は、絵か公式の投稿で照合できたことだけ。確かめた話数を添えています。
  • ファンのあいだで語られているものは「巷の説」、このサイトの読みは「考察」と分けています。
  • 根拠の薄い読みは「ここから先は推測」の節に分けています。
  • あらすじの再構成と長い引用はしていません。歌詞は一行も載せません。

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